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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?
538.決闘、危機一髪。
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取り囲んできたから、逃げるのは難しいけれど、何とかしてみる。
足かしら、足を使う?
考えていると。
取り囲んでいた男が一気にいなくなって、ボクの体は、すっぽりと温かいところにいた。
「フィリス。」
ラウルの声。
ラウルがボクを抱きしめている。
「決闘は、おしまい。」
とエスター。
サブリーとユージュアルは、ラウルとエスターの斜め後ろにいる。
「おしまい、にはしないの。エスター。」
「フィリス、おしまい。」
とエスターはニコニコ。
「エスター、始めたばかりでね、勝負がついていないの。」
魔法使いが、やっとやる気を出したところで。
「ボクが平手したら、素手の決闘なんて、と魔法使いは言っていたけど、素手にしようって、まとまったの。これからなの。」
ボクは、説得しようとして、一生懸命になりすぎてしまったの。
「これから、決闘になるところだったの。」
「フィリス。まだ、決闘は始まっていないよね?」
とエスター。
「え?もう始まっているの。開始済みなの。」
しまったの。
ボク、うっかり口を滑らしてしまったみたい。
「決闘中よ、決闘中。」
ボクは、急いで、訂正した。
「エスター。ボクは、決闘中なの。少し言葉選びを間違えてしまっただけなの。」
「決闘は、取り止めだ。フィリス。」
とラウル。
ラウルが背中から抱きしめているから、ラウルの声がボクの体に響く。
「ラウル、取り止めにしないの。ボクは出来るの。」
ボクには、ボクのものを守る力があると示さなくちゃ。
ボクが頼りないと思われると、ボクの大切なものに負担がかかる。
ボクのことを軽んじる勢力は、ティリリ王国だけじゃない。
コーハ王国の中にも、存在している。
今回の近衛交流会。
コーハ王国の近衛騎士団、本隊の若手の参加者は、
ティリリ王国の近衛だけでなく、貴族子弟、貴族子女と交流があったと聞いている。
彼らは、ティリリ王国側から、ボクがわがまま姫と嘲笑われても、反論も訂正もしなかった。
中には、同調した者もいた。
別働隊の皆が、ボクを姫呼びをしていたのは、わがまま姫に対する意趣返しだと思うの、多分。
振り返ってみれば。
でも、そんな、意趣返しなんて、本当に必要だったかしら?
忸怩たる思い。
きっと、1番偉い人のボクが侮られているからなの。
ラウルも、エスターも。
ダンシェルも、ロウウェルも。
セドリック、シュクナ、レイモンド。
サブリーにユージュアル。
今回、しなくてもいい苦労をいっぱいさせてしまったの。
ボクが、侮ってもよいと思われているばかりに。
別働隊の隊員は、皆、ボクの大切なもの。
ボクのものは、誰にも傷つけさせたりしない。
ボクは、自分で戦って、勝てるようになるの。
どんな方法でもいいから、ボクが勝てる土俵に引きずりこんで勝つの。
勝たないとダメなの。
だから、何とか、ラウルとエスターを説得しないと。
ボクが考えていたら、ラウルが、耳元で囁いてきたの。
「フィリス、決闘なんて、勝手にしていいわけがない。」
「フィリス、決闘してもいいか、誰かに聞いてみた?」
とエスター。
ボク、誰にも相談していないの。
相談したら、反対されると思ったから。
「フィリス?」
エスターが返事を待っているの。
「相談はしていないの。」
「どうして、相談しなかったのかな?大事だよね?相談すること。」
エスターが、追求の手をゆるめてくれないの。
反対されそうだから、と答えたら、悪いことだと知っていたね、となるパターン。
他に、何か、名案は!
何も、浮かばないの。
「ごめんなさい。」
「やってはいけないことをして、心配かけてしまったことは、反省するから、今回は、見逃してくれると嬉しいの。」
誠実に非を認めて謝ったけれど、見逃してもらえなかった。
足かしら、足を使う?
考えていると。
取り囲んでいた男が一気にいなくなって、ボクの体は、すっぽりと温かいところにいた。
「フィリス。」
ラウルの声。
ラウルがボクを抱きしめている。
「決闘は、おしまい。」
とエスター。
サブリーとユージュアルは、ラウルとエスターの斜め後ろにいる。
「おしまい、にはしないの。エスター。」
「フィリス、おしまい。」
とエスターはニコニコ。
「エスター、始めたばかりでね、勝負がついていないの。」
魔法使いが、やっとやる気を出したところで。
「ボクが平手したら、素手の決闘なんて、と魔法使いは言っていたけど、素手にしようって、まとまったの。これからなの。」
ボクは、説得しようとして、一生懸命になりすぎてしまったの。
「これから、決闘になるところだったの。」
「フィリス。まだ、決闘は始まっていないよね?」
とエスター。
「え?もう始まっているの。開始済みなの。」
しまったの。
ボク、うっかり口を滑らしてしまったみたい。
「決闘中よ、決闘中。」
ボクは、急いで、訂正した。
「エスター。ボクは、決闘中なの。少し言葉選びを間違えてしまっただけなの。」
「決闘は、取り止めだ。フィリス。」
とラウル。
ラウルが背中から抱きしめているから、ラウルの声がボクの体に響く。
「ラウル、取り止めにしないの。ボクは出来るの。」
ボクには、ボクのものを守る力があると示さなくちゃ。
ボクが頼りないと思われると、ボクの大切なものに負担がかかる。
ボクのことを軽んじる勢力は、ティリリ王国だけじゃない。
コーハ王国の中にも、存在している。
今回の近衛交流会。
コーハ王国の近衛騎士団、本隊の若手の参加者は、
ティリリ王国の近衛だけでなく、貴族子弟、貴族子女と交流があったと聞いている。
彼らは、ティリリ王国側から、ボクがわがまま姫と嘲笑われても、反論も訂正もしなかった。
中には、同調した者もいた。
別働隊の皆が、ボクを姫呼びをしていたのは、わがまま姫に対する意趣返しだと思うの、多分。
振り返ってみれば。
でも、そんな、意趣返しなんて、本当に必要だったかしら?
忸怩たる思い。
きっと、1番偉い人のボクが侮られているからなの。
ラウルも、エスターも。
ダンシェルも、ロウウェルも。
セドリック、シュクナ、レイモンド。
サブリーにユージュアル。
今回、しなくてもいい苦労をいっぱいさせてしまったの。
ボクが、侮ってもよいと思われているばかりに。
別働隊の隊員は、皆、ボクの大切なもの。
ボクのものは、誰にも傷つけさせたりしない。
ボクは、自分で戦って、勝てるようになるの。
どんな方法でもいいから、ボクが勝てる土俵に引きずりこんで勝つの。
勝たないとダメなの。
だから、何とか、ラウルとエスターを説得しないと。
ボクが考えていたら、ラウルが、耳元で囁いてきたの。
「フィリス、決闘なんて、勝手にしていいわけがない。」
「フィリス、決闘してもいいか、誰かに聞いてみた?」
とエスター。
ボク、誰にも相談していないの。
相談したら、反対されると思ったから。
「フィリス?」
エスターが返事を待っているの。
「相談はしていないの。」
「どうして、相談しなかったのかな?大事だよね?相談すること。」
エスターが、追求の手をゆるめてくれないの。
反対されそうだから、と答えたら、悪いことだと知っていたね、となるパターン。
他に、何か、名案は!
何も、浮かばないの。
「ごめんなさい。」
「やってはいけないことをして、心配かけてしまったことは、反省するから、今回は、見逃してくれると嬉しいの。」
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