フィリス・ガランの近衛生活

第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ？

517.セドリックは、近衛別働隊の幹部として、よく働く。軍服のマーゴットと軍服集団を見て、軍事演習だな？予行練習か？と疑ってかかるほどに。

「軍服の徽章。将官以上だ。」
とセドリック。

「徽章？フィリスの妹が、将官クラス？」
と混乱するレイモンド。

「後でまとめて教える。」
とセドリック。
「フィリス、あの赤い集団は、なんだ？」

「マーゴットとマーゴットの親衛隊。」
とフィリス。

「親衛隊と軍の違いは？」
とセドリック。

「親衛隊は、マーゴットが主君なの。」
とフィリス。

「分かった。」
とセドリック。

軍ではなく、親衛隊というところの判断が難しい。

公にしないためか？

ハーマルが来るということは、国の外交部を動かし、国として解決に当たらせる手はずになっている。

ティリリ王国でのフィリスの処遇を知り、非公式に妹を直々に乗り込ませたのか。

セドリックとシュクナは予想する。

話し合いが、大変そうだ。

今回、ティリリ王国での近衛交流会は、コーハ王国側が後手に回っている。

ハーマルは国同士の問題解決のために寄越されるが、妹は、フィリスのために投げ込まれたに違いない。

フィリスの妹は、兄と同様、どこぞの王子の求婚を蹴ったらしい。

「うちの妹を欲しがるなど、身の程知らずにも程がある。」
と長兄デヒルから、ガラン家による経済制裁の手はずを整えたと聞いている。
「撤回して、詫びを入れてこなければ、経済制裁を発動する。」

ご当主の号令1つで発動可能だという。

そんな騒動の渦中にいるご令嬢が、外国に自身の親衛隊を率いて演習に来ている。非公式で。

軍事演習だな？

ご令嬢自ら出撃して、相手の首級をあげにいく予行練習に見えないか？

セドリックは、帰国後にする調査の多さを今、考えるのは止めた。

マーゴットが戻る前に、ティリリ王国側から話を聞いて、話し合いに備えなければ。

マーゴットが、演習場所を探しに来たのなら、禍々しいナニカが、ティリリ王国を焼き尽くすまで、時間がない。

そこかしこで、普通の炎ではない赤黒い炎が燃えているが、燃えるものがなくなっても、炎が消えていないと、ティリリ王国側が騒いでいるのが聞こえてくる。

燃えるものと燃えないものがあるのか、確かめようとして、ティリリ王国の近衛は、炎の中に色々放り込んでいるが、まだ結果はわからなそうだ。

ティリリ王国側の近衛と話をするために、セドリックは、シュクナに姫役の男を立たせて歩かせ、フィリスをレイモンドに任せて歩きだす。

ティリリ王国は、まともな説明が出来るんだろうな？