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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?
514.外国でのお仕事中に、再会した妹には、カッコよく、素敵な兄だと思われたい。だから、お姫様救出ゲームのお姫様役のことは、秘密にするの。
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フィリスは、近衛交流会の最後のイベント会場にいることをマーゴットに説明した。
「近衛の交流の割に、少なくありませんか?」
とマーゴット。
「ボク、助けに行かなくちゃ。」
とフィリス。
両腕を掴まれているので動けない兄の手をとるマーゴット。
「お兄様。わたしがおります。1人より2人。どのような助けが必要でしょうか?」
フィリスは、マーゴットの思いやりに感動してしまう。
ボクの妹は、素敵な気遣いが出来るの、と今すぐ自慢したいが、マーゴットに聞かれていることに答えるために、我慢した。
「お姫様を救出するゲームなの。
セドリックとシュクナとレイモンドはティリリ側の姫役の人といて、ラウルとエスターとダンシェルとロウウェルは、救出に向かったの。」
「ラウルとエスターとダンシェルとロウウェルが危なかったから、サブリーとユージュアルが助けにいっているの。」
「サブリーと、ユージュアルが助けを待っているから、ボク行かなくちゃ。」
フィリスのお付き達が、魔導具で信号を送ってきている。
フィリスは、主人を信じて待っているサブリーとユージュアルに応えたい。
「ご安心ください。お兄様。その2人なら捜索隊を派遣済み。一緒にいる近衛も連れて戻るようにしましょう。」
とマーゴット。
赤い軍服を着た2人が飛び立っていく。
「ありがとう。」
ほっとするフィリス。
「ええ。それと、お兄様。」
とマーゴット。
「お兄様のお仕事をまだ、お聞きしていません。」
「ボク?」
フィリスは考える。
お姫様役って、カッコいいかしら?
兄として、妹に自慢できるかしら?
結論は、すぐに出た。
お姫様は、省こう。
大活躍したところだけ、話そう。
マーゴットは、いつも、フィリスの頑張りを見つけると褒めてくれる。
姫は、なかったことにする。
「ボクは、皆が困っていないか、見て回っていたの。」
「ラウルとエスター、ダンシェルとロウウェルのところには、サブリーとユージュアルが行ったから、ボクはセドリック達のところに来たの。これから、活躍するの。見ていってね。」
フィリスは、己の姫役には一切触れずに説明しきった。
ボクは、やれば出来るもの。
好事魔多し。
フィリスが、姫役の歴史をないものにしようとしたとき。
「そういえば、さ。」
とティリリ王国側も冷静になった。
「なんで、姫役が、こんなとこにいる?」
とティリリ王国側から声が上がった。
「しかも、1人で。」
「姫とお付きのセットだろ?」
「お付きは、どこだ?」
ティリリ王国側の姫役奪還は、正規の近衛が担当していた。
当然、ティリリ王国側の近衛は、フィリスの顔も役割も知っている。
「お兄様、姫役でしたか?他にも、お1人ではないか、と指摘されていますが?」
とマーゴット。
フィリスは慌てた。
「ボクは、1人だったけれど、今はマーゴットと2人。」
だから、姫とかなんとかは、ボクのことじゃないの。気にしないで。
とフィリスは、続けたかった。
なのに。
「姫、どうして、1人でここにいるんだ?」
とか。
「姫、うちのやつら、どうした?」
とか。
「姫、決め台詞は斬新だったけど、意味がわからんぞ。」
とか。
「姫、誰に救出されたんだ?」
とか。
ティリリ王国側の近衛達は、次々に、フィリスに向かって、姫、を連呼する。
フィリスは、姫呼びは、中止と叫びたい。
叫べば、マーゴットに何かと聞かれるので、できない。
ジレンマと戦っていた。
姫呼び、は今は、なし、なの。
今だけじゃなく、これからも、なし。
姫呼び、しなくていいの。
お姫様っぽいから、姫と呼ばれていた、なんて、マーゴットに知られたくないの。
ボクは、カッコいい素敵なお兄様を目指しているのに。
ボクは、マーゴットの自慢の兄なんだから。
フィリスが焦って、言葉を考えている間に、マーゴットはフィリスへの質問を口にした。
「お兄様、ティリリ王国側から、姫と呼ばれていらっしゃるのですね。姫でいらっしゃったのですか?」
「近衛の交流の割に、少なくありませんか?」
とマーゴット。
「ボク、助けに行かなくちゃ。」
とフィリス。
両腕を掴まれているので動けない兄の手をとるマーゴット。
「お兄様。わたしがおります。1人より2人。どのような助けが必要でしょうか?」
フィリスは、マーゴットの思いやりに感動してしまう。
ボクの妹は、素敵な気遣いが出来るの、と今すぐ自慢したいが、マーゴットに聞かれていることに答えるために、我慢した。
「お姫様を救出するゲームなの。
セドリックとシュクナとレイモンドはティリリ側の姫役の人といて、ラウルとエスターとダンシェルとロウウェルは、救出に向かったの。」
「ラウルとエスターとダンシェルとロウウェルが危なかったから、サブリーとユージュアルが助けにいっているの。」
「サブリーと、ユージュアルが助けを待っているから、ボク行かなくちゃ。」
フィリスのお付き達が、魔導具で信号を送ってきている。
フィリスは、主人を信じて待っているサブリーとユージュアルに応えたい。
「ご安心ください。お兄様。その2人なら捜索隊を派遣済み。一緒にいる近衛も連れて戻るようにしましょう。」
とマーゴット。
赤い軍服を着た2人が飛び立っていく。
「ありがとう。」
ほっとするフィリス。
「ええ。それと、お兄様。」
とマーゴット。
「お兄様のお仕事をまだ、お聞きしていません。」
「ボク?」
フィリスは考える。
お姫様役って、カッコいいかしら?
兄として、妹に自慢できるかしら?
結論は、すぐに出た。
お姫様は、省こう。
大活躍したところだけ、話そう。
マーゴットは、いつも、フィリスの頑張りを見つけると褒めてくれる。
姫は、なかったことにする。
「ボクは、皆が困っていないか、見て回っていたの。」
「ラウルとエスター、ダンシェルとロウウェルのところには、サブリーとユージュアルが行ったから、ボクはセドリック達のところに来たの。これから、活躍するの。見ていってね。」
フィリスは、己の姫役には一切触れずに説明しきった。
ボクは、やれば出来るもの。
好事魔多し。
フィリスが、姫役の歴史をないものにしようとしたとき。
「そういえば、さ。」
とティリリ王国側も冷静になった。
「なんで、姫役が、こんなとこにいる?」
とティリリ王国側から声が上がった。
「しかも、1人で。」
「姫とお付きのセットだろ?」
「お付きは、どこだ?」
ティリリ王国側の姫役奪還は、正規の近衛が担当していた。
当然、ティリリ王国側の近衛は、フィリスの顔も役割も知っている。
「お兄様、姫役でしたか?他にも、お1人ではないか、と指摘されていますが?」
とマーゴット。
フィリスは慌てた。
「ボクは、1人だったけれど、今はマーゴットと2人。」
だから、姫とかなんとかは、ボクのことじゃないの。気にしないで。
とフィリスは、続けたかった。
なのに。
「姫、どうして、1人でここにいるんだ?」
とか。
「姫、うちのやつら、どうした?」
とか。
「姫、決め台詞は斬新だったけど、意味がわからんぞ。」
とか。
「姫、誰に救出されたんだ?」
とか。
ティリリ王国側の近衛達は、次々に、フィリスに向かって、姫、を連呼する。
フィリスは、姫呼びは、中止と叫びたい。
叫べば、マーゴットに何かと聞かれるので、できない。
ジレンマと戦っていた。
姫呼び、は今は、なし、なの。
今だけじゃなく、これからも、なし。
姫呼び、しなくていいの。
お姫様っぽいから、姫と呼ばれていた、なんて、マーゴットに知られたくないの。
ボクは、カッコいい素敵なお兄様を目指しているのに。
ボクは、マーゴットの自慢の兄なんだから。
フィリスが焦って、言葉を考えている間に、マーゴットはフィリスへの質問を口にした。
「お兄様、ティリリ王国側から、姫と呼ばれていらっしゃるのですね。姫でいらっしゃったのですか?」
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