上 下
498 / 1,415
第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

499.ガラン領内の神獣パパラン大興奮。「俺達の不出来な弟子フィリスが力を使った!」「見に行こう。」「指導しよう。」「便乗して暴れよう。」

しおりを挟む
山が1つなくなったぐらいじゃ、インパクトが弱いかしら?

あと2つほど、土くれにしてしまおう。

5分の時間差で、2つの山を平らにする。

人が作った地形で、人以上の力の影響を受けていない土地だから、ボクの魔法は滞りなく効果が出る。

神獣や霊獣が住処にしているような場所だったら、人間じゃなく、神獣や霊獣と話をしなくちゃいけないもの。

神獣や霊獣は、人間の理なんて、歯牙にもかけない。

ガラン領の固有種パパランも、したくないことはしない。

パパランに無理強いしようとして、人間が調子に乗るなと、罰を与えられ、死にかけたところを晒し者にされてから、死んだ者もいる。

はっきり言うと、人外とは対立しないにこしたことがない。

山が3つ平らになると、風景が変わる。

さあ。

ボクを追いかけてきなさい。

お探しの姫は、隠れていないの。
進みながら、待っていてあげる。

早く来ないと、山くらいじゃ済まないよ?



その頃。

ガラン領内。

パパラン達が大騒ぎしていた。

「フィリスがやってる!」

「どこや、どこや。」

「フィリスの力を辿れば、行ける。」

「よっしゃ、不出来な弟子の教育の成果を見に行くぞ。」

「フィリスは、兄貴のパパランが来るのを待っているに違いない。」

「出来の悪い弟を助けに行くぞ。」

うぐいす色のワイバーンが、そこかしこで騒がしい。

今から、パーティーするような盛り上がりだが、内容は、討ち入り計画である。
行き先は、外国なので、パパランが集団で飛来したら、後始末のために、フィリスの父と兄の仕事が増える。

パパランは気にしないが。


「パパランのテンションが振り切る前に止めとけ。」
と通りがかりの固有種が、領内にいたマーゴットに知らせた。

その固有種がマーゴットに知らせた理由は、パパランがうるさくて、気に障ったためである。
誰かに静かにさせようとして、マーゴットをちょうど見つけたのだ。

駆けつけたマーゴットは、うぐいす色のワイバーンが、ハチマキ巻いてくれと寄ってきたので、理由を聞くところから始めた。

「ハチマキを巻きながらでよいので、お祭り騒ぎの理由を話してください。」
とマーゴット。

お付きの者が作ったハチマキをパパランに巻いてやる。

「フィリスが、力を使った。」

びっくり情報だが、情報源が神獣なので、確かである。

神気を察知したのだろう。

「見に行く。」

「授業参観。」

「監督だ。」

「コーチだ。」

「師匠よ。」

「ビシバシ指導する。」

このへんは、自称保護者だから、まあ良い。

「見本を見せてやる。」

「祭りだ。」

「ヒャッハーする。」

「俺達の時代だぜ。」

マーゴットがパパランを止めないと、パパランのやる気をフィリスのせいにされてしまう。

心優しく、芯の強いすぐ上の兄フィリスの傷が、本人の預かり知らぬことで増えることをマーゴットは希望しない。

パパランは神獣ゆえに悪気がなく、加減もない。

マーゴットは、丁寧にパパランに頼む。
「申し訳ないのですが、そのお役目、わたしに譲っていただけません?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚チート騎士は竜姫に一生の愛を誓う

はやしかわともえ
BL
11月BL大賞用小説です。 主人公がチート。 閲覧、栞、お気に入りありがとうございます。 励みになります。 ※完結次第一挙公開。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

英雄様の取説は御抱えモブが一番理解していない

薗 蜩
BL
テオドア・オールデンはA級センチネルとして日々怪獣体と戦っていた。 彼を癒せるのは唯一のバティであるA級ガイドの五十嵐勇太だけだった。 しかし五十嵐はテオドアが苦手。 黙って立っていれば滅茶苦茶イケメンなセンチネルのテオドアと黒目黒髪純日本人の五十嵐君の、のんびりセンチネルなバースのお話です。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕

hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。 それは容姿にも性格にも表れていた。 なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。 一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。 僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか? ★BL&R18です。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

処理中です...