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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

497.いつも仲良し3人組が、別行動をしたのには理由がある。

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ボク、サブリー、ユージュアルは、並んでいると違いが分かる。
1人ずつバラバラでいると、初見の人はどれだっけ、となる。

髪の色や瞳の色、顔立ち、体つき、話し方。

黙っていれば、人の中に溶け込める。

でも、軍の演習用地には、溶け込める群衆がいない。

だから、ボク達は、バラけた。

セドリック、シュクナ、レイモンドの元。

ラウル、エスターの元。

ダンシェル、ロウウェルの元。

3人が、それぞれ合流する。

ボクは、セドリック達のところへ。

ラウル達のところには、方角的にサブリー。

ダンシェル達のところには、ユージュアルが向かった。

ボク達3人の中で、追手をかける価値があるのは、ボク。

彼らが仕事を辞めていないなら、ボクを追う。

ボクは、最短距離で、セドリック達の元に向かう。

どうやって?

今こそ魔法の使い時。

人の目もないから、こころおきなく。

「汝らは、柔かきもの。しなやかであれ。」
と木々に魔法をかける。

バケツリレーを木の枝で再現したの。

木の枝が、バケツの代わりにボクを隣の木の枝に次々に渡していく。

その後、ボクは何もしない。

ひょいひょいと木の枝に受け渡しされていく。

来るときにあった平原には近寄らない。

低木がまばらにしかない平原は、身を隠す場所がない。

木の枝を使うことで、足跡を残さない。

姿も見せない。

魔法は使うけど、ボクのは独特だから、知らなければ、ボクのだと気づけない。

ボクの魔法は、初見殺し。

移動しながら、ボクの大切な皆の様子を調べる。

「我が名はフィリス・ガラン。我の名を記したものよ。その在り処を我に知らせよ。」

セドリック、シュクナ、レイモンドは、最初の場所にいる。

周囲を取り囲む輪が狭まってきている。

セドリック達の方は、軍の兵士ではなく、近衛の可能性もある。

ボク達が連れてこられた奥地は、明らかに一般人向けの土地じゃなかった。

けれど、
出入口付近は、軍用地らしさを出していなかった。

近衛が屋外で訓練する場所として、通用する作りをしていた。

セドリック達が、案内されて、拠点にしているのは、近衛が屋外訓練するための広くて、見通しの良い場所。

敵が近づけば、すぐにわかるが、こちらの動きも丸見え。

ボクがするのは、派手に邪魔をして、敵が近付けないようにすること。

姫の救出を長引かせることで、ティリリ王国側が、姫の救出のための人員を投入し続けるようにしたい。

ミーアーニ王女殿下と魔法使いがタッグを組んだ理由は、ラウルとダンシェルだと思うから。

ミーアーニ王女殿下と魔法使いから、2人以外の戦力を引きはがす。

サブリーと、ユージュアルは、2人の相手が出来る。

軍人として叩き込まれて、実戦経験があるから。

近衛の殺しは、家や国といった政治的背景や謀略が切り離せない。

失脚というのは、政治的な死だもの。

ラウル、エスター、ダンシェル、ロウウェル。

4人とも、近衛としては、優秀。

でも、軍人の命の取り合いは、近衛の感覚に馴染まないから、今日は苦戦しているはず。

戦うのは、サブリーとユージュアルに頑張ってもらうから、逃げ延びてね。
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