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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

487.姫というものは、弱者に優しい面もある。姫は、部下を守り、部下に守られる。姫は誇り高く、自らの誇りを汚す存在や行いを許容しないものだ。

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ボクは、救出を待つ姫役なので、皆とお別れ。

「寂しい。早く会いに来てね。」
ボクは、サブリーとユージュアルと一緒に敵陣へ。

ティリリ王国側の人質役、違った、姫役を見つけたから、挨拶に行こう。

「こんにちは。貴女が姫役かしら?」

「そうですが、何か。」
と素っ気ない。顔も合わせない。

よし。
姫役の女の人の両手を握る。
「正々堂々と姫役に徹してね。
貴女に確認するけど、姫役の仕事は、敵陣で救出されるのを待つこと、で、合っているかしら?」

「そうよ。」

「そう。貴女は、ボクのライバルになるのね?」

姫役さんは、顔をしかめた。

「ライバル?」

「そう。このゲームの真の主役は、姫役なの。このゲームを考えたのは、ミーアーニ王女殿下だって知っているかしら?」

「知っている。」

ボクは、声を小さくする。
「ミーアーニ王女殿下の原案はね、姫役が助けにきた騎士と結ばれるの。」

姫役さんの表情が動く。
どっちかな?
嬉しい?嬉しくない?

「貴女の騎士は、どの人?」
そっと尋ねると、目で教えてくれた。

「その人と結ばれるのは、嬉しい?」
目を伏せた表情が翳る。

あ、嬉しくないのね。

「ボクのは、知っているでしょ?」

姫役さんは黙って頷く。

「ね、ボク達、ライバルでしょう?」

「貴女のお名前が知りたい。教えてくださるかしら?貴女自身から。」

「セリヤーナ。」
と姫役さん。

「名字は、ある?ない?」

「ない。」

「分かった。セリヤーナさんは、騎士さんとは仲良くしたくない?」

「ない。」

「ボク達2人、どれだけ立派な姫でいるか、競おう。」

「ボク、絶対、負けないから。」

ここで、女性を1人投入とは、よろしくないよね。

声に魔力を乗せるよ、国中に広まれ!
「ティリリ王国から姫役で参加してくれるセリヤーナさんは、女の人で1人だけだから、ティリリ王国が管理していて、ティリリ王国の既婚女性しか解錠できない貞操帯を用意して、つけてからじゃなきゃ、ゲームを始められない。」

「貞操帯をつける前に、セリヤーナさんに何もないことを確認して、貞操帯が外れない状態でついていることをティリリ王国とコーハ王国のボク達が同時に確認してから、ゲーム開始するからね。」

「安全な貞操帯を早く用意しないと、ゲームが始まる前に時間切れだよ。」

「男所帯に、女の人を1人で預けるなら、貞操帯の準備くらい、ボクに言われる前にしないと、ダメじゃないかしら?」

「ボクは、気遣い出来る立派な姫だから、こうして、国中に、教えてあげる。」

「貞操帯が準備出来たら、貞操帯に不備がないかの確認、ボクもするから、勝手につけないこと。」

「ティリリ王国は、このゲームをしたいのか、したくないのか、分からないなあ。コーハ王国は、全くしたくないから、今すぐ帰ってもいいんだよ?
このゲームをしたいと熱望したティリリ王国は、何を狙っているのかしら?」

さて。
ティリリ王国に滞在する隠密、外交官、商人、その他、色々な方々が、情報収集に励みだすよ?

うちの近衛が女性に、無体なまねをしたと問われないためにも、用心は大事なの。

この姫役さんの役回りは、無体を働かれたかわいそうな犠牲者役。

無体を働かれた状況を作るために、うちの近衛が手を出さなくても、ティリリ王国が男を複数寄越してくると思う。

実行犯役、目撃者役、通報者役。

完全に、仕込みは済んでいると見ていい。

戦争下でも、災害下でも、非常時は、非力な存在が蹂躙されても黙殺されやすい。

セリヤーナさんは、名字がない。

元からの平民か、元貴族の平民か、分からないけど、このゲームの犠牲者として選出されて、断れない、もしくは逃げられない状況なのは、確か。

確かめたいことも、出来た。

「準備が整うまで、姫役同士、お話しない?1人だと、心細いかしら?他にもお友達呼ぶ?」
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