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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

481.やる気か?やる気だな?参加しないと言っていたのに、ご指名です。お姫様救出ゲームのゲーム中に、ゲームのフリして誤殺狙いですか?

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トラブルなく終わったら、良かったのに。

ティリリ王国の肝いりのお姫様救出ゲームの1時間前になった。

近衛別働隊は、全員、不参加なので、他の不参加の本隊と一緒にお茶と茶菓子を楽しんでいる。

食べ物や飲み物は、本国から受け取ったものだけを口にする。

用心のために。

孤立したときのために、1人1人が1日分の飲み物と食料を携帯。

公式の識別タグ以外に、仲間内で分かる印を体につける。

薬の散布予防に、制服にも一工夫。


本隊の参加者を送り出したら、全員が戻ってきた。

バラバラになると危ないから、団体で動くことを徹底しているんだけど。

どうしたのかしら?

「どの種目にも出場していない選手を2人以上含めるのが、突如、条件に加わった。」

「ティリリ王国は、飛び入り参加者がいて、2名追加。条件を揃えるためだそうだ。」

「その2名は、ダンシェルにご執心の魔法使いとラウル大好きミーアーニ王女殿下だ。」

「2名の非戦闘員が参加するから、と言っていたが、あれは、どっちも戦闘員だ。」

「戦力をならすために、コーハは近衛を3名入れろと要求してきたが、突っぱねるか?」

「本隊は、全員出場したものね。」

「誤殺狙いか?」
とセドリック。

「3人だけで、行く。サブリー、ユージュアル。」
ボクは、サブリーとユージュアルと一緒に立ち上がる。

「待て。早まるな。」

「おい、止めろ。」

歩こうとしたら、逞しい腕がボクのお腹に回っていた。
「ラウル?」
ラウルが背後からボクを抱きしめている。
「フィリスは、姫だろう。自分で戦おうとするな。」
とラウル。

ありがとう、ラウル。
ボク、戦闘向きじゃないもの。
でもね。
「ボク、やるときは、やるの。」

「やるときは、今か?違うな?
本当は、分かっている、そうだな?
姫は、安心して守られていろ。」
とラウル。

ラウルの優しくて、男らしい気持ちの強さに、ボクは負けない男になる。
「ボクがラウルを守る。何がなんでも、ボクが守るの。」

「フィリス。」
とラウルが体でボクを包んでくれる。
世界に、ボクとラウルだけ。
大好きなラウルの香りを嗅ぐだけで幸せ。
そんな気分になる。
この幸せを潰しにくる人は、やっつけちゃうから。

「ほら、頼れ。フィリス。言いたいことがあるだろう?」
ラウルは、ボクの耳に口を寄せて、優しく聞いてくれる。

「ラウル。どこにも行かない?」
ボクは、ラウルの腕の中で、180度回転した。ラウルの顔を見る。
ラウル。
ラウル。
いなくなったら、いや。
どこまでも、一緒がいいの。

「行かない。フィリスが行くところに行く。これまでも。これからも。」
とラウル。

「ラウル、お願い。助けて。一緒にいてほしいの。」

「姫の願いを叶える栄誉を俺にくれるか?」
とラウル。

「ラウル。大好き。」
ラウルは、いつもボクの心の弱ったところをヨシヨシしてくれる。

「ラウルも、お願いして。」
ボクは、元気が出てきた。

ラウルを危険な目になんて、絶対遭わせない。

「最初のお願い。ラウルにボクの名前を書いてもいい?ボクのものだって分かるように。」
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