上 下
457 / 1,415
第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

459.命を賭けて戦うお仕事をしていたら、味方が危ないときに進んで裏切る人は、いくら強くてもノーサンキュー。

しおりを挟む
「魔法使い。」
とフィリスは呼んだ。声に魔力を乗せると、魔法使いは、フィリスに反応した。

フィリスの周囲の血塗れの5人を見て、ヒィっと悲鳴をあげる。

ダンシェルに気づくと、ダンシェルめがけて駆け寄ろうとした。

「魔法使い。勝手は許さない。」
とフィリス。声に魔力を乗せて、警告する。

「助けて。ねえ。助けて。なんなの。こんな場所で平気でいるなんて、頭がおかしいよ。」
魔法使いはダンシェルに訴えかける。
「僕は、こんな血みどろの世界なんて大嫌いなんだ。」

ダンシェルは、魔法使いの問いかけに答えない。

「魔法使いは、コレらを守っていた。コレらはボク達に害をなした。魔法使いも害をなすか?」
とフィリス。

「守れと言われたら、守るしかない。僕に何が出来るって言うのさ。」
と魔法使い。
「まさか、僕も殺す気?」
魔法使いはフィリスを睨む。

「魔法使い。敵対する勢力のどちらかに味方することは、反対勢力の敵と同じ。」
とフィリス。フィリスの声にはずっと魔力が乗っている。
声に魔力があると、魔法使いは、聞く耳を持つようだ。

「死にたくない。味方じゃない。」
と魔法使い。
「ねえ、僕の防御魔法は凄いんだ。僕を仲間に入れてよ。」

「魔法使いは、ティリリ王国の第2王子の部屋を守った。なぜ?」
とフィリス。

「なぜ?命令されたら、仕方ないよ。僕は、戦いたくなんてないのに。」
と魔法使いは口をとがらせる。

「なぜ、命令された。」
とフィリス。

「なぜって。」
魔法使いは、口ごもる。

「ボクは、命令されても、従わない。従う理由がない。魔法使いは、従う理由がある。それは何?」

「仕事だから。」
と魔法使い。

「僕は、魔法を戦いに使いたくなんてないのに。仕事だから、使わなくちゃいけない。」

「最悪だ。」

「でも、彼だけは、僕に戦わせなかった。彼だけは、他の人とは違う。魔法が凄いだけじゃない僕を見てくれた。」
魔法使いは、ダンシェルに熱のこもった視線を送る。

「魔法使い。味方を裏切り、敵に寝返るというなら、誠意はどう見せる?」
とフィリス。

「誠意?裏切り?寝返るって何?そんな話、していない。」
と魔法使い。
「僕は、もう耐えられない。なんで、戦いばかりなんだ。」

「魔法使いの処理は、第2王子が責任を持つ。」
とフィリス。
ユージュアルが頷く。

第2王子は、魔法使いの話を聞いて理解できる状態のようだ。

「第2王子?なんで?生きてるの?捕まっているの?死んでないの?」
と魔法使い。

「魔法使いは、第2王子の死を望むか?」
とフィリス。
「人聞きの悪いこと言わないで。僕は、殺したり、殺されたりする世界にいたくない。もっと平和に生きたいんだ。」
と魔法使い。

「平和に生きてみた?」
とフィリス。
「できるわけない。ケンカも殺し合いも生活の一部なんて、狂っている。」
と魔法使い。

「理解して、死ぬか生きるか選んだ結果が、今。」
とフィリス。
「魔法使いの生まれはどこ?」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

英雄様の取説は御抱えモブが一番理解していない

薗 蜩
BL
テオドア・オールデンはA級センチネルとして日々怪獣体と戦っていた。 彼を癒せるのは唯一のバティであるA級ガイドの五十嵐勇太だけだった。 しかし五十嵐はテオドアが苦手。 黙って立っていれば滅茶苦茶イケメンなセンチネルのテオドアと黒目黒髪純日本人の五十嵐君の、のんびりセンチネルなバースのお話です。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕

hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。 それは容姿にも性格にも表れていた。 なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。 一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。 僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか? ★BL&R18です。

弟が生まれて両親に売られたけど、売られた先で溺愛されました

にがり
BL
貴族の家に生まれたが、弟が生まれたことによって両親に売られた少年が、自分を溺愛している人と出会う話です

R指定はないけれど、なんでかゲームの攻略対象者になってしまったのだが(しかもBL)

黒崎由希
BL
   目覚めたら、姉にゴリ推しされたBLゲームの世界に転生してた。  しかも人気キャラの王子様って…どういうことっ? ✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻✻  …ええっと…  もう、アレです。 タイトル通りの内容ですので、ぬるっとご覧いただけましたら幸いです。m(_ _)m .

光る穴に落ちたら、そこは異世界でした。

みぃ
BL
自宅マンションへ帰る途中の道に淡い光を見つけ、なに? と確かめるために近づいてみると気付けば落ちていて、ぽん、と異世界に放り出された大学生が、年下の騎士に拾われる話。 生活脳力のある主人公が、生活能力のない年下騎士の抜けてるとこや、美しく格好いいのにかわいいってなんだ!? とギャップにもだえながら、ゆるく仲良く暮らしていきます。 何もかも、ふわふわゆるゆる。ですが、描写はなくても主人公は受け、騎士は攻めです。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺

福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。 目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。 でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい… ……あれ…? …やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ… 前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。 1万2000字前後です。 攻めのキャラがブレるし若干変態です。 無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形) おまけ完結済み

処理中です...