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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

453.『コイツが、わがまま姫。』『妖艶な魔性の男?』『違う、ラブロマンスの定番、磨けば光る地味な平凡。』地味な平凡の配役は、男じゃないよ?

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見目の良い細見の男達は、衝撃が強すぎて、呆気にとられていただけのようだ。

「コイツ、コーハの近衛の制服着てるぞ。」
と1人が指摘すると、全員が我に返っった。

「コーハの近衛って、頭の中にお花が咲いていても、なれんのか?」

「コイツ、めちゃくちゃ、堂々としているよな。」

「コーハの近衛と言えば。」

見目のよい細身の男達の話を聞いているうちに、なよっとした男は、冷静になったらしい。

「ラウル、ラウルは、どこだ?」
と騒ぎ出した。

「無礼者。誰の許しを得て、ラウルの名前を呼んでいる?」
とフィリス。

「お前こそ、俺に楯突くなんて、いい度胸だな。おい、やってしまえ。」
となよっとした男は、見目の良い男達に命令する。

「ボクのものに、手を出すなんて、身の程知らずが。這いつくばって、己の不明を詫びなさい。」
とフィリス。
扇をビシッと突きつけるのも忘れない。

「『ボクのもの』だあ?俺のラウルだぞ。」
となよっとした男。

「お待ち下さい。このイカレポンチは、ひょっとしたら。」
と見目の良い細身の男の1人。

「茶色い髪と瞳。あっさりした容貌。小柄な体格。」

「間違いありません。」

「コイツです。」

「コイツが、『わがまま姫』です。」
見目の良い細身の男達は、大興奮。

「本物だ。」

「話に聞いていたのと違って、めちゃくちゃ普通っぽい。」

「うーん。地味だけど、目鼻立ちは整っているぞ。」

「主張しない容姿だが、着飾れば、見れるようになる。」

「妖艶な魔性の男かと盛り上がったのに。」

「アレだ。オツムの残念な性格美人。」

「解説はいらんから、コイツをどうにかしろ!」
となよっとした男。

「でも、ラウルのお気に入りなんでしょう?わがまま姫って。」

「お気に入りを虐めたら、悪者になるのは、こっちですよ?」

「コイツがラウルの好みなら、優しくして、恩を売る方が良くないですか?」

「思い出してください。物語の主人公にいるでしょ?コイツみたいなの。」

「一生懸命におバカを演じて、テヘペロするやつか?」
となよっとした男。

「違います。」

「人目に付く程の容姿じゃなくて、全然目立たないくせに、主役の男とラブロマンスを演じるのは、磨けば光るタイプの原石なんですよ。」

「よく観察してください。」

「地味な平凡に惚れた男が、手塩にかけて磨いていくんですって。」

「ぴったりじゃないですか。」

見目の良い細身の男達の一致団結が凄い。

地味な平凡で、主役の男とラブロマンスを演じる話は、相手役の配役は女のコじゃなかったかしら?

どうして、ボクを女のコに当てはめたの?

「そういうものか。」
と、なよっとした男が説得されかけている。

勝手に説得されないでくれる?
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