フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ?

440.人質奪還作戦と同じと言うけど、やることは真逆。小競り合いのうちにトドメをさして、解決の道筋を作るのも大将の仕事なんだよーって、本気?

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レイモンド、ダンシェル、ロウウェルの後輩3人は不安なようだ。

「人質奪還作戦とすることは同じ。
奪還作戦より、気楽にね。
人質奪還作戦は、人質の無事が大事だけど、今回は違うもの。」
とフィリス。

「「「は?」」」

「生きて表に出せる状態であればいいの。
どこか潰れていても、折れていても、欠けていても、どうにでもなる。
顔だって、元の顔が残っていれば、足したり、化粧するから、大丈夫。」
とフィリス。

「この戦局を有利に運ぶことが、今後の政局を左右するの。」
とフィリス。

「いや、貴人の護衛とか、貴族だけど、問答無用で生死不問で問題にならないか?」
とレイモンド。

「そこは政治だから、ボク達は関与しない。
軍人の仕事は、敗者が、勝者に物申すことができないくらいに完膚なきまで、優劣をつけておくこと。」
とフィリス。

「問題があっても、責任は全て向こうにとらせる。最終的には。」
とユージュアル。

「今は小競り合いだから、ゆるゆるしているけどな。小競り合いじゃなくなるのは、時間の問題だ。」
とユージュアル。

「本格的な武力衝突に突入する前に、止めるのも、大将の仕事。」
とサブリー。

「武力衝突がデカイほど、双方のキズはデカくなる。」
とサブリー。

「招待した側が、悪意をもって、外国の貴族に害をなした、という事実は、情勢次第で簡単に上書きされる。」
とユージュアル。

「最善の政治的解決は、1つ。今日は、何事もなくスケジュール通りに進行したと公式記録に残すこと。」
とユージュアル。

「安心しろ。公式記録に残せない不都合を口にするやつは、いない。最終的に、1人もいなくなる。」
とサブリー。

「今日、起きた全て、語られることもなければ、誰かが記録に残すこともない。何も起きていない、と発表した国の威厳がなくなる。心配しなくても、威厳を無くすのは、ボク達の国じゃないよ?」
とフィリス。

歴史の闇は、こうやって出来るんだと後輩3人は思った。

「迷いがなくなったところで、作戦にうつろうね。迷いがあると成功率を下げるから。他にない?」
とフィリス。

「「「ない。」」」

「作戦開始。」
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