フィリス・ガランの近衛生活

第5章 コーハ王国の近衛には、わがまま姫がいる。フィリス・ガランという子爵家子息。コーハ王国のイイ男を侍らせて、手玉にとっているらしいよ？

433.到着前に、フォーメーションの打ち合わせ。あれ、シュクナ、エスター。その掌にあるのは、お飾りかな？違うよね？いい子にするから、ナシで！

近衛別働隊の総司令は、フィリスだが、今回の外交では、フィリスがメインの仕事がない。

試合の補欠でさえない。
応援、もしくは、マネージャー。

以下。
ティリリ王国とコーハ王国の担当同士の打ち合わせ。

『お宅の近衛、超話題じゃん。噂になっている、コーハのわがまま姫って近衛の男だよね。いやー、超見るの楽しみって、うちの若いのが騒がしいんだけど。』

『行かねーよ？』

『あ？』

『行く予定ないぞ。』

『嘘だろ？なんでだよ。』

『いや、なんで行くと思った？』

『あー。根拠ないけど、来るもんだと。』

『別にいらんだろう。』

『いるよ、いる。来て、来て。待っているから。』

『なんで、そんなに必死なんだ？若いのなら、他にいるぞ。』

『いやあ。わがまま姫の噂、凄まじいじゃん。トップニュースだよ。』

『コーハ王国のフィリップ殿下をはじめ、王弟子息、王の従兄弟のご子息。適齢期のめぼしい男を総なめにしているって、言うじゃん。』

『そんなに凄い噂なのか。』

『何が凄いってい、上等な男、限定で手玉にとる手腕が凄い。』

『狙って落とせるもんでもないだろう。ハズレなしときた。』

『どんなツラか拝みたくもなるわ。』

『普通だが？』

『普通って麻痺していないか？』

『普通の男は、何人も、上玉をおとせねーって。』

『そうか。まあ、とにかく、行かないから。』

『今の流れは、行く一択だろうが。』

『連れて行っても、うちにメリットが何もない。』

『コーハ王国にメリット、なあ？ああ、うん。何か用意すればいいんだな。』

『メリット用意するから、連れて来いよー。』

以上。打ち合わせ終了。


今回の指揮官は、ラウル。
ラウルが不在の時は、セドリック。

ラウルとセドリックが不在の時は、状況を見て、エスターかシュクナが指揮をとる。

ラウル、セドリック、エスター、シュクナの不在時はフィリスが指揮する。

フィリスには、ダンシェル。

サブリーには、ロウウェル。

ユージュアルには、レイモンド。

入れ替わっても良いが、必ず、1人につき1人がついて、フィリス、サブリー、ユージュアルだけにしないこと。

「「「了解。」」」
ダンシェル、レイモンド、ロウウェルは即座に了解の返事をした。

フィリス、サブリー、ユージュアルは、全く了解したくない。

ダンシェル達3人がいたら、女のコが全員、そっちにいく。
敗北が目に見えている。

せっかくのチャンスをむざむざ潰されては、たまらない。

別行動を推奨！

「ラウル。」
呼びかけたフィリスとサブリー、ユージュアルの肩をとんとんと叩くシュクナ。

そっと、開かれたシュクナの掌には、ミニチュアの姫ティアラ。

エスターの掌には、小さめに作り替えたヘッドドレスが2つ。

3人は目をまん丸にして、シュクナとエスターの掌、ラウルの顔を順番に見る。

「今回は、着けないのよ。」
フィリスの声が震える。

「なしだって、決まったぞ？」
とサブリー。

ユージュアルは、セドリックが心底楽しそうにしているのを見てしまい、言葉が出ない。

「使いたいなら。」
とラウル。

「遠慮します。」
とユージュアル。

「言うこと聞く。」
とサブリー。

「お利口さんにするの。」
とフィリス。

「返事は？」
とラウル。

「「「了解。」」」
フィリス、サブリー、ユージュアルは、失意の中で声を出した。