フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

419.『おれに興味ないのかな？』『ない。』コーハ王国を選んだ理由を話さないの？じゃあ、黒幕についての情報ね。早く話さないかしら。

「フィリスくんは、おれに興味ないのかな？」
質問に答えず、黙っていたコウノワタルは、フィリスに聞いてきた。

「コーハ王国を選んだ理由は？」
とフィリス。

「おれの質問に答えてくれたら、答える。」
とコウノワタル。

「興味ない。コーハ王国を選んだ理由を話しなさい。」
と即答し、続けて命令するフィリス。

「迷ったり、気を遣ったり、一切しないんだ。貴族っていいなあ。」
とコウノワタル。

サブリーは、コウノワタルの両手を掴んで机に乗せる。

「サブリーくん、どうしたのかな？」
とコウノワタル。

ユージュアルは、コウノワタルの右手の手首を迷わず折った。

コウノワタルは、痛みに叫ぶが、サブリーが両手を固定したので、机から手を取り戻すことができない。

「質問を変える。コーハ王国を選んだのは、誰？」

コウノワタルが話さないのは、選んだ理由を知らないから話せないのだ、とフィリスは察した。

知らないと答えると、マズいと考えて、コウノワタルは核心に迫る問答を避けている。

自身に生かす価値がないとフィリス達が知ったら、すぐ殺されるとコウノワタルは分かっている。

コウノワタル自身、同じことを他の異世界転移者にしているから。

権力者が、役立たずを始末するのに、迷わないことをコウノワタルは、理解している。

この場は、権力者がフィリス。
コウノワタルは、役立たずになるか、ならないかの瀬戸際にいる、とコウノワタルは考えている。

状況を正確に把握しているため、フィリスがコウノワタルを役立たずと結論づけるような発言を避けたいのだ。

フィリス達の目的は1つ。

配置されただけの駒なら、配置した人間についての情報を吐き出させるまで。