フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

417.キミの自白からキミを犯人にして幕引きするとでも？ボク達が対峙したい相手はキミじゃない。前哨戦にもならないよ。黒幕の情報をちょうだい。

「証拠があってもなくても、おれを捕まえてあるから、自白させてしまえばいいと考えたのかい？」
とコウノワタル。

コウノワタルとフィリス達は、向き合っている対象が異なる。

売春宿へ内偵に行く前。
フィリス、サブリー、ユージュアルの3人は、売春宿に所属している男娼についての調査報告を役所から受けている。

借金漬けになって、売春宿にきた若者を男娼として働かせ、借金の返済に充てさせていた売春宿。

借金の貸し手が、売春宿の元締め。
借金のマッチポンプ。

売春宿の男娼は、借りなければ、借りないで生きていけただろう若者達。

男娼になった若者は、理由があって、王都にきたため、家族や古い友人を頼れない者ばかり。

最大の問題点。
元締めも、売春宿の管理者もコーハ王国民ではない。


コーハ王国の貴族であり、為政者である限り、この事態を軽んじることはない。

故郷と縁を切ったり、切られたりしたからといって、他国の者がコーハ王国民を利用するのを認める理由にはならない。

人の数と人の質は、国力に直結する。

為政者が、自分の国民を大事にしないは、国を大事にしないのと同意。

国内の統治もさることながら、自国民を害する他国の行いに弱腰でいては、国を傾けるだろう。


フィリス達3人は、コーハ王国にとっての敵と対峙している。

コウノワタルが、証拠を見せろとか、証拠がないから自白を強要するのか、と吠えているが、3人は刑事事件の捜査をしているわけではない。

コウノワタルが話す言葉は、自白ではなく、情報だ。

情報を元に、裏付けをとったり、他の情報を探す。

コウノワタルを容疑者扱いも、犯人扱いもしない。

なぜなら、今回の事態がコウノワタル1人で出来る範囲を超えているから。

コウノワタルは、誰かに配置された駒の1つ。

トカゲの尻尾は、何回切っても、トカゲの尻尾以上にはならない。

コウノワタル1人を犯人として、幕引きするなんて、国のすることではない。

国に売られた喧嘩。

やり合う姿勢を鮮明にしないと黒幕以外にも、コーハ王国が侮られる。