上 下
409 / 1,412
第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

411.ガラン子爵家当主ダルク(フィリス、ハーマルの父)の相棒。初めまして、祟ってやるぞ、コノヤロー。

しおりを挟む
ハーマル、フィリス、サブリー、ユージュアルが息を止めて、ダルクを見る。
「私の相棒は、異界の祟り神なんだよ。」
ダルクは、あっさり正体を明かした。

「異界の祟り神ということは、この世界に元からいた神じゃないんですか?」
とハーマル。

「そうだよ。」

「ある日、頭上に猛スピードで落下してくる物体があったから、横に避けたら、私のいた場所に突っ込んできたんだ。」

「横に避けた私に、『避けるんじゃねえ。祟ってやる。』と言って、出会い頭に祟ってきたんだよ。」

「「「「え?」」」」

「その後、『祟りが恐ろしくなったか、供物があれば、弱めてやる。』と言って、手を差し出してくるから。」

「その手を払い除けたら、『特大に祟ってやるぞ。』と言いだしたんだよ。」

「「「「当たり屋!」」」」

「急いで、カバに投げた。全身カバに噛まれて、ガブガブ、ちょーマズい、ゲキマズ、とカバに吐き出されていたよ。」

ガラン領に住んでいる、固有種カバ。体長10メートルを超す大物で、神獣や霊獣の仲間。

悪霊をたまに食ったりもする。

「祟りは、どうなったんですか?」
とハーマル。

「カバに投げたときに、祟り神を調伏してしまったらしくてね、祟られたままなんだけど、自分の下位的存在からの祟りには相殺以上の効果があって、無害だよ。」

「お父様は、祟り神の主になったのでございましょうか?」
とフィリス。

「うん、従えているんだよね。」
ダルクは、嬉しくも悲しくもないようだ。

「祟り神は、何が出来るんですか?」
とハーマル。

「祟るよ。」

「祟る以外は?」

「祟るのみ。」

「祟らなければ?」

「ただの半透明の異界からの客。」

祟る以外何もしない神様?

え?初っ端から、チンピラ臭していたよね?

下っ端?

成り立て?

イキりたい感じ?

「暇になると、祟る相手を探して祟ろうとするんだよ。」
とダルク。

イキりたくて、力を試したい、使いたい、暴れたい、みたいな考えかしら?

「アチコチ飛び回ることが多い理由ですか?」
とハーマル。

「他の理由もあるけど、祟り神の興味を広げるためだね。」

「異界の祟り神の祟りだから、解呪できるかどうか不明だし、祟りがどこにどう影響するかわからないからね。」

「検証もなしに使えないから、検証を重ねているのに、ヒマになったら、すぐ誰かを祟ろうとする。」

「祟り神だぞ。祟るのはライフワークで、生きがいで、存在証明だ。」
と祟り神。

子ども達は思った。

一芸に凄く秀でているけれど、特殊過ぎて、使い道がないタイプだ。

しかも、一芸の他は地を這うレベル。

神様を下して従えたなんて凄いね。
という感じにならないのは、肝心の神様がすこぶる残念だからだ。

祟り神だが、祟らなければ、何もしないし、出来ない。
無害どころか、なんの役にも立たないお荷物である。

見た目のインパクトは凄いのに。
祟り神は、常識が通じる話し相手にもならない。

ダルクは、従えているんじゃなく、手のかかる押しかけペットを飼育している感覚である。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

【完結】別れ……ますよね?

325号室の住人
BL
☆全3話、完結済 僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。 ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

処理中です...