フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

402.自分に愛を求めてこない女は、自分の兄が好き。もし、弟が兄を亡き者にしたら、兄殺しの弟を求めてくれると思う？

ゆりかごに仕様変更した者が宗派の中に入っていたが、出入り自由な存在か、今もいるかは不明。

「仕様変更したのは、男？女？」

「女だな。人の興味をひかないタイプだ。」

「具体的に。」
抽象的すぎる。

「巫女様と正反対。」

「巫女様を知らない。」

「華やかさ、可愛らしさ、愛おしさ。男が応援したり、声をかけたくなる要素がない。男以上に気にならない。同じ部屋にいても、どうでもよい女だった。」
女の人にもてないでしょ？

「仕事に行ったんだったら、お互いにそんなものじゃないの？」

仕事先で懇ろになる相手を探すばかりじゃ、仕事が終わらないよ。

「殺風景過ぎて、仕事が出来ない。」
チヤホヤされたいと、職場の他人に期待するから、煙たがられたのだと思うよ。

「他に何か？」

「術の知識は豊富だった。話し方のクセもなく、声も特徴がなかった。」
印象に残らないけど、悪い記憶はないのね。

「見た目は？」

「目と耳と鼻がついていて、いろは忘れたが、髪も生えていた。左右で2つ結び。女性だと判断できるくらいの高さの身長。服は覚えていない。」

人間か、人間に近い特徴がある何か、ということね。

「年齢は？」

「わからん。」

「巫女様基準では？」

「比較できない。同じ女の扱いをしては、巫女様にさわりがある。」
巫女様への愛が高まり過ぎて、失礼極まりない。

「巫女様とどうなりたいの？」

「家庭を持ちたい。巫女様に引退してもらって、夫婦になりたい。」

「兄を手に掛けた弟を兄を望む女は欲しがるの？」

「望みは叶う。」

「今でもそう思うの？」

「コーハ王国が、モルトル・ヨーリキと断定して捕まえた時点で、モルトル・ヨーリキは助からない。」

「誰か、手を下す人がいるの？」

「女神だ。女神は、子飼いを管理できなかった。責任をとる。」

「巫女様は、女神を恨み、弟は、巫女様の側に寄り添う。という結末が狙いなね。」

筋書きを書いた人間は、何を考えているのかしら。

「巫女様の力の源が、愛なら、モルトル・ヨーリキを永遠に失った巫女様は、怒りや恨み、絶望を新しい力の源にするの？」
変質しても、おかしくないよ？

「力の源が変わっても、巫女様の力は変わりなく発揮できるのかしら？」