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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

372.国の体をなしていない国に、片道切符の偉い人を送り届けにいきます。仕事です。行きたくありません。宮仕えなんで、行くしかないんですけど。

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「人の腕は2本なんだし、1人救えたら、十分だと思う」
とユージュアル。

「死ぬ前に断捨離しておくと、遺族は困らないらしい。」
とサブリー。

「前の人生があることは、モルトル・ヨーリキにとって、何をもたらし、何をとったのかな?記憶がなければ、コウノワタルと再会しても、きっと気づかなかったよ?」
とフィリス。

「記憶があったから、コウノさんと暮らした日々が残った。」
と嘆息するモルトル・ヨーリキ。

俺自身は、ビボワ国に苦しんだわけじゃない、とモルトル・ヨーリキは話しだした。

「上級国民のヨーリキ家に生まれたことで、自分の意思を持つことが出来たからな。」

「ただ、居心地が悪かった。2度目こそは家族愛に満たされてみたいと思ったんだが。」
とモルトル・ヨーリキは嘆いた。

フィリスは、モルトル・ヨーリキの様子を見て、何かを思ったようだ。

「ビボワは、王制なくしたときに、王は廃したけど、貴族は残ったのよね。王がいなくなって、群雄割拠のときはまだ、秩序があった。王政復古を狙って、王制が復活した後から、混乱したの。短期間で倒れる王が続いたでしょう?王を目指して、王になっても、引きずり落とす勢力が増える。王にならずに、勢力を維持する方が得策という風潮が広まったから。」
とフィリス。

「よく、知っているなあ。」
とモルトル・ヨーリキは感心した。

「宗派が勢力を急拡大したのが、王政復古の後の混乱期。」
とフィリス。

「国の混乱に乗じたのか、国が混乱したからなのか。今の宗派の土台が形成されてから、50年は経っている。」
フィリスの話は続く。

「王制を無くしていなければ、混乱期に介入している国があったと思う。」

「今の方がマシなのか?」
とモルトル・ヨーリキ。

「逆よ。王制があれば、他国に支援を求めることも出来て、支援を得ることも出来た。なんのために政略結婚があるの?」

「今のビボワは、国内の統制がとれない首脳陣と、国より自分の上級国民、信仰を理由に、法を度外視する宗教組織がひしめき合っている。まともに交渉できる相手が国ではなく、宗教組織なんだから、もう国の体をなしていないのよ。」

「どうして、ビボワが今も、国として独立を保っていられるか?
なんの旨味もないから、誰も触らないの。触ったら、煩い上に、面倒なの。」
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