フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

369.「3度目の人生があれば、そのときは2人で天寿をまっとうしよう。」今生最後の口づけをきみに送る。おれを見つけてくれてありがとう。

モルトル・ヨーリキの強制送還の日。国境が接していないので、長距離移動になる。

モルトル・ヨーリキと、コウノワタルは別れの挨拶を交わしていた。

「俺がいなくても、生きてくれ。もっと長くいられると思った。ごめん。」
と謝るモルトル・ヨーリキ。

コウノワタルはモルトル・ヨーリキを正面から抱きしめている。
「モルトルがいたから、おれは生きてこれた。」

「誰がなんと言おうと、モルトルが生かしてくれた。
モルトルの頑張りのお陰だ。
それだけは、胸を張って帰ってほしい。
おれは、モルトルに感謝しかない。」

「3度目の人生があれば、そのときは2人で天寿をまっとうしよう。」

2人は、今生最後の口づけを交わした。



今生の別れの挨拶が交わされている部屋の隅っこ。


フィリス、サブリー、ユージュアルは、必死にジーンに訴えていた。

「今日じゃなくても。」

「歌の練習する日でも。」

「女性にオススメしてみよう？可愛いよ。」

「3人のための特注品だよ。近衛の制服に合わせたから。」
とジーン。

あれよ、あれよ、と3人は飾り立てられていく。

「3人用に、制服の一部として登録してあるから、落とさず、外さず過ごすんだよ。」
ジーンの優しい言葉が怖すぎる。

「ずれたり、引っかかること、あるかも。」
とユージュアル。

「3人は、制服に足りないものがあっても、着たと主張するのかな？着けないと着たことにならないからね。」
とジーンは、取り付く島もない。

「言いつけを守れるいい子になるね？」

ジーンに勝てなかった3人は、飾り付けられて出発することになった。