フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

345.『人をどうするか。決めるのは誰？導くのは誰？刈り取るのは誰？』某国のガチやべー偉い人の部下と布妖怪オリベ。

活力溢れる上司がすっかり大人しくなっている。

青年の姿を見ると一言言わないではいられない一言居士なのに。

「こんな姿になるまで、何があったのか、話してくれるよね。」
と青年は優しく語りかける。

「いつも歯止めが効かなくなるまで無茶するのは、変わらないね。前も今も。」

「前とは、立場が逆転してしまったのに、自分が保護者の気分が抜けないよ。」

「今は上司と部下だから。どこへ行くときも一緒だよ。」

「それにしても、静かだね？」
と青年は、上司の顔を覗きこむ。

先住者の口の中に詰め物があるようだ。

「男の拘束や詰め物を触ったら、殺るわよ。」
とオリベ。

「苦しくないかな？」
と青年。

「生きているうちは苦しいわよ。楽にさせたいの？」
とオリベ。

「息の根を止めないでくれるとありがたい。」
と青年。

「人間のすることよ。」
とオリベ。

フィリスは、オリベに相談しても、人殺しはさせない。

フィリスが手を汚すときに、使うのは人だ。

オリベは妖怪だから、使わない。現場にも近づけない。

フィリスの兄妹と一緒にいる不思議なものには畏怖を覚えても、人は排斥はしない。
しかし、人を殺せる妖怪だと知ると、もしかしたら、という懸念を正当化して、人は簡単に攻撃理由を作り出すだろう。

フィリスと共にいるため、人の世界に関わることには、オリベはあまり手を出さない。

青年が上司に何かしたところで、オリベが息の根を止めるわけではない。

青年の行為が上司を死に至らしめる。

青年が真の意味を理解していると、よいが。