フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

344.頼れる相棒、布妖怪オリベ。フィリスは、胴に巻き付けて、小太りに変装していたよ。さ、オリベの出番だよ。

話を聞くにしても、仕掛けがてんこ盛りの敵中でやりたくない。

「帰りたいなー。」
とフィリス。

「帰ったらダメなのかい？」
と青年。

「貴方は、上司の行くところに行く、そうね？」
とフィリス。

「まあ。何もなければ。」
と青年。

「ボク、帰る。」
フィリスは決断した。

「気をつけてお帰り。」
という青年の手をとり、サブリーが手を繋ぐ。

「握手かい？」
困惑する青年を連れて、VIPルームでぐるぐる巻きにした先住者の元へ。

「君達がやったの？」
と逃げ腰になる青年。

勿論。
簡単に動けないように、骨はがっつりやっちゃった。

内蔵は、多分、大丈夫。

虫の息までにはなっていないので、手当てをしたら、事情聴取が可能。

うん、完璧。

売春宿の元締めの調査は、今日は、諦めて、仕切り直し。

フィリスは、胴に巻き付けていた布妖怪に聞いた。
「オリベ。5人で、脱出したいの。」
オリベは、フィリスの胴体から離れて、VIPルームを旋回する。

「脱出したくなるわよ、ここにいたら。」
とオリベ。

「よろしくね。ボク、どうしたらいいかしら？」
とフィリス。

「脱出出来れば、いいのね？人に属する術は、強制的に破壊か、解呪か、還す。同時に。それ以外は、無視。」
とオリベ。

「人以外の術？」
とフィリス。

「生きている人が作り出した術もあれば、人外が使うのもあるわね。」
とオリベ。

「人の術を同時に完全に止めた瞬間に脱出しかないわ。どれかが働かなくなったら、別のが補うシステムが組まれているわ。壊れても、自動で補修して復活する仕組みもあるわよ。」
とオリベ。

「人外の術は無視していいの？」

「無視せざるをえないわね。協力してくれる人外いないし。」
とオリベ。

「人の術を全部同時に停止させることで、一時停止するの。その後、自己回復して元に戻るから、そのものを破壊は出来ないわよ。今は。」
とオリベ。
「脱出した後、ここがどうなるか、は不明ということ？」
とフィリスが確認すると、そうよと返すオリベ。

「脱出が大事。」
とフィリス。

「分かったわ。タイミングは、教えてあげるから、調べてみなさい。」
とオリベ。

「調べている間、この2人を見ていて。反抗的だったら、ビシッとやっていいよ。」
とフィリス。

布妖怪オリベは、先住者と青年の頭上にバサバサとはためいた。

「最近のカーテンは浮くのかなあ？」
と青年は、オリベを見た後、ぐるぐる巻きにされている上司の隣に座った。