フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

337.偉くても、偽名で不法入国して不法滞在している限り、実在しない人物だ。知らないオジサンに絡まれたから、不審者だと思った、で通す所存。

「いつまで、そうしている気かな？」
と先住者。
「私は誰だ？紋章がわかるなら、わかるだろう？」
声がイラッとしている。


3人は、揃って、部屋の壁を観察していた。

耳は閉じてないので、聞こえている。

やべー宗教国家のガチやべー偉い人に公式の場でやったらアウトだが、相手は、偽名で不法入国して、不法滞在している。

偽名であるなら、そんな人物は存在しないと同義。

不法入国と不法滞在で強制送還する代わりに、コーハ王国は、外交的な旨味をゲット。正規訪問、正規滞在に切り替えた後、ガチやべー偉い人には、速やかにご帰国願う流れになる。多分。

3人が今後も関わる理由は、1つもない。

よって、知らないオジサンに話しかけられても、相手にしない。

やたら絡んでくる、知らないオジサンは、不審者として扱おう。

相手にしなければ、そのうち、飽きて、静かになる。


3人は部屋の調査に忙しいのだ。


部屋の壁は、魔法と他にもいくつかのものを編み込んで出来ている。

まるで、乾燥したツルで編み込んで作ったかごバッグのよう。

隙間はあっても、その隙間から出し入れは出来ない。

もし、ゆりかごを内側から壊す必要ができたら、どこを破壊するのがベターか。

そんなことも頭の隅においている。


「馬鹿にするのも大概にしろ。俺にそんな態度をとっておいて、ただで済まされると思ってんのか。ああん？」
あまりに相手にしなさすぎたのか、先住者がキレた。