フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

302.近衛の採用や育成を任された、他の家より凄いところを見せつけるチャンス！と意気込む新しい家と、恒例の当番だ、という古い家がある。

ガラン軍の兵士が人の流れに乗せるかのように、寄ってきて、今代の王子に側近を出していない2つの公爵家の当主は押し流されて離れていった。

「軍隊の多様性には、目を見張るものがありますな。」
「攻撃手段が増えれば増えるほど、防衛手段も磨いく。」
とデヒル。

「私達を呼び集めたのは？」

「今日から、王子達も動きやすくなる。動きが活発化すると、狙われることも増える。王子と我が子は最低限、守りきれ。下っ端の取捨選択は、それぞれが責任を持て。」
とデヒル。
「警備と近衛は、あてになりませんか？」

「あてになる、ならないの選別は、守られる本人の意見も聞きながら、各々進めていけ。」
とデヒル。

「王妃側の外戚の公爵家が近衛に影響力を持ち出してから、30年は経っていない。近衛の30年は、短くない。私物化するまで増長するとはな。」
とデヒル。

「近衛の採用や育成は、だいたい、30年きざみで、メインに担当する家を交代していきます。」

「古い家だと、当番がきた、くらいの感覚ですが、新しい家は、浮かれがちですね。」

「新旧の温度差が激しいのか。」
とデヒル。

「配下の貴族から跡継ぎを除いて、歌舞音曲に興味があるか、仕事にしても苦にならない、肉体と人格に問題がなく、近衛試験に合格して入団が可能な、5年後に18歳以上になる侯爵家と伯爵家の貴族子弟をリストにして出せ。
近衛別働隊の創設メンバーに、ラウルやジーンのように幹部として入隊させる。
6つの公爵家の推薦で、侯爵家と伯爵家の組み合わせを一組として、4組から8組を目安に。」
とデヒルは続ける。

「幹部以外の創設メンバーも探せ。

5年後に成人したて、ではなく、近衛でも、近衛以外でも、18歳の入隊時点で、1年は社会人経験がある方がいい。ないなら、しごく。」

「年齢の目安は、最高齢でも、ジーンとの差が少ないこと。

ジーンとラウルがフィリスを支えて守る構図になる。

創設メンバーに関しては、公爵家の子弟の入隊は、見送れ。

創設メンバーは、侯爵家が幹部、伯爵家が補佐で統一する。」

「公爵家の子息で余力があるなら、国政に関わらせろ。3男ハーマルが近々、外交部へ配属だ。公爵家は、ハーマルの助けになれ。」