フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

294.目的のために、駒と大切なものと、それ以外で分類している。目的がはっきりしているから、利用するときも切り捨てるときも迷わない。

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デヒルの問いかけにも、国王は特に咎めたりしない。

父親に愛してほしくて、ライバルになる体の弱い実弟を遠ざけ続けたが、父親には気づかれなかった。

国王陛下の家族は、子どもの不在という変化に気付くほど、父親が我が子に関心を持っていなかったから、問題にならなかった。

兄にも弟にも。

実父によって、王太子を引きずりおろされた後に、既に王太子妃になっていた妻が、妻にとっての義理の弟になる自分の弟に暗殺者を送り付けたり、妻の実家が妻に同情して協力的だったことも全て、把握しているが、国王陛下は何もしなかった。

自分が手を汚さないでも、進んで汚れ役を引き受ける人間がいるなら、黙認する。

兄が父親の認めた弟を暗殺しようとしたら、父親は兄を見限るかもしれない。

しかし、父親の言うがままに、兄が王太子の座を弟に譲ったら、王太子でなくなった兄のことなど、父親は見向きもしなくなるに違いない。

父親の歓心を買うためには、父親の意向に添ってはならない。

それが、国王が、妻と妻の実家を教育せず、暴走も止めなかった理由である。

つまり、父親が振り向いてくれるか、否かが、国王の動機になっていた。

国王が完璧に振る舞えば、父親は安心して、国王の側からいなくなる。

それではだめなのだ。

国王陛下の不出来な部分を見せて、父親が国王陛下に不安になり、自ら離れるのはよくないと考えるようにしなければ意味がない。

我が子は、父親の気を引くための大事なエサ。

父親が我が子を通して積極的に関わってくる姿に、歓喜し、我が子に嫉妬したが、子どもという血の繋がりのある他人は、国王陛下と父親との関わりを深めてくれる。

なんと素晴らしい。

学習する子どもは、目的のために、同じ失敗は繰り返さない。

真に賢い子どもは、失敗から学ぶ。

妻も妻の実家も、妻にとっての義理の父にあたる先代国王陛下に向ける感情が分かりやすくて、誠に使い勝手がよい駒だった。

しかし、引き際を見誤るとは。国王の駒でありながら、情けない。

成り上がりゆえか、大事なところが欠けている。

己の欲の実現に躍起になるのはよろしくない。

欲を実現したいなら、本業を疎かにせず、欲は片手間、くらいでいかねば。

成り上がりは、成り上がってきただけあり、欲に忠実すぎて、セーブできなくなりがち。

見境なく突っ走るから、転ぶのだ。

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