フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

282.大好きな、デヒルお兄様が、来てくださったよ。

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話すのも、顔をそらすのも疲れてきちゃった。

「我が弟を返せ。」
突然、デヒルお兄様の声が聞こえた。
来てくださった。
ボク、頑張って、時間を稼いで待っていました。
デヒルお兄様の仰っていた通りに。
デヒルお兄様が必ず助けに来てくださるから、全力で生き延びること。
大好きな、デヒルお兄様。
お姿を早く見たいです。
デヒルお兄様のお声を聞いたら、
ボクの目は、涙が溢れて、何も見えないのです。

ボクの体は、ひったくられるようにフィリップ殿下から離れる。
この腕。この香り。この温もり。
「デヒルお兄様、お兄様。お会いしとうございました。ずっと、ずっと。お兄様が来てくださると信じて、お待ちしておりました。」

「よく頑張った。偉かったな。フィリスは、よく出来た良い子だ。私の最愛の弟。」
デヒルお兄様は、そう言って、抱きしめてくださいました。

デヒルお兄様のお声も体温も、お顔の表情も、全部、ボクが待ち望んだもの。
「デヒルお兄様、大好き。離さないでくださいませ。ボク、もう離れたくない。お兄様とずっと一緒にいとうございます。」

ボクが、デヒルお兄様に埋もれている間に、ガラン軍が、謁見の間の制圧を終えていた。

忘れずに伝えないと。
「お兄様、フィリップ殿下は、理解済みで、ボクが一晩思い出をあげるのと引き換えに、コーハ王家の一員として生きる誓約をしました。」

「よくやった。」

「お兄様、いっぱい褒めて、慰めて、甘やかしてくださいませ。ボク、お兄様が足りません。」

「フィリスの気が済むまで甘やかそう。」

「嬉しゅうございます。早く2人になりとうございます。」
ああ、幸せ。

「フィリス、帰る前に、憂いを取り除いておこう。」
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