フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

279.フィリップ殿下の言う通りに、近衛になって結婚しないと、ハーマルお兄様が学校で苦労したように、妹のマーゴットが苦労すると言われている。

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「ボクに命令しないで。ボクの将来を勝手に決めないで。ボクに命令出来る人はお父様とお兄様だけよ。」
ボクがフィリップ殿下の胸板から頑張って顔をそらしていると、何人かプークスクスと笑ってくる人がいる。
失礼しちゃう。

「フィリップ殿下、このように世間知らずで甘やかされた4男坊は見たことがありませんが、よろしいのですか?」

「私に臆せず、甘えて全力でぶつかってくる様のなんと愛おしいことか。わからないのか?」
とフィリップ殿下。

「いやあ。殿下の尊いお心は計り知れないものがございます。」

いや、ボクもフィリップ殿下の言い分が、全く理解できないからね。
ボク、フィリップ殿下には全然、甘えてないよ。

「とにかく、ボクは、フィリップ殿下とは結婚しない。近衛にもならない。」

「結婚は、どうせ、すぐにはできませんよ。子爵家風情の4男では。」

「すぐじゃなくても、しないよ?」

「しがない子爵家の4男が、話題のフィリップ殿下の御手付きとなると、一体何人のご令嬢が、目の色変えるでしょうなあ。」

「どういう意味?」
しがないって、ガランのこと分かってなさすぎ。

「フィリップ殿下は、適齢期の女性が結婚したい男性ナンバーワンですからね。」
ボクには、関係ないよ?

「ボクは、結婚したくない。結婚したい人を他に探したら?」

「よろしいのですか?」
ニタニタして、こっち見ないで。

「どうして、だめなの?」

「ガラン子爵家には、今年11歳の女児がいましたなあ。」

「だから?」

「12歳で、学校に通うとなると、さぞ苦労されるでしょう。」

「学校のことは、知らない。」

「4男さんは、領地に籠もっていて、知らなかったと思いますが、お兄さんは、とっても苦労されましたよ。4男さんのせいで。」

「お兄様の苦労は、躾けられていない貴族が悪いのよ?」
失礼しちゃう。

「いえいえ、お兄さんもおぼこいお子さまでしたから、分かっていなかったようですが、4男さんのせいですよ?」

「いなかったのに、ボクのせいにするのは、人のせいにしすぎ。」

「いえいえ、4男さんが、フィリップ殿下の成人のお祝いにも駆けつけず、学校にも通わなかったせいですよ。フィリップ殿下がどれほど寂しい思いをされたことか。臣下一堂、胸を痛めました。」

「フィリップ殿下をお祝いするのは、家族がいるでしょ。フィリップ殿下が寂しいのは、フィリップ殿下が自分で克服することだから、臣下は関係ないよ?」

「殿下の心痛を思うあまり、忠実な臣下がお兄さんに何度も、忠告差し上げていましたよ。弟さんを呼べば、痛い思いをしなくて済むと。」

「殿下の心痛は、殿下の問題。我が家は関係ない。」

「お兄さんも、素直に、弟を呼ぶと言わないから。」
なんだか、会話がねっちねっちしていて、嫌なの。

「帰るから、迎えを呼びたい。」
とボクが言うと、また、プークスクスしている人達。

「ガランという家は、子育てもろくに出来ないんですかね。フィリップ殿下の言う通りにしないと、妹さん、大変なことになりますよ。」
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