フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

277.ボクは、結婚しない、近衛にもならないって言っているのに、フィリップ殿下が国王陛下に、想い人と想いを遂げたから、結婚したいって言った。

もうすぐ、国王陛下が入ってくるそうよ。

国王陛下が来るから、跪いて、頭を下げなさい、とさっきから、周りがしつこい。
周りが煩すぎて、ラウル達がどこにいるか、見えないよ。
皆、ボクより背が高いんだから、離れてって言っているでしょ。ラウル達を探したいの。

国王陛下に跪いて頭を下げることが出来ないとは、貴族のなんたるかが分かっていない、とかめちゃくちゃ言ってくる。

「ボクはしないの。」
いい加減にしてくれないと、怒るから。
お父様とデヒルお兄様に言いつけるよ。

扉が開いた途端、フィリップ殿下が、ボクを横抱きにした。

「抱っこしないで。」

フィリップ殿下がボクを抱っこして跪いている。

「楽にせよ。」
国王陛下に促されて、フィリップ殿下がボクを抱っこしたまま、立ち上がった。

「本日は、めでたい報告があると聞いた。楽しみにしている。」
と国王陛下がフィリップ殿下に話している。

ごめんなさい、めでたい話は、ボクがめでたくなくします。

ボクが話そうとしたら、フィリップ殿下の胸板に顔を押し付けられた。

止めて。話が出来ないでしょ。

「昨日、長年の想い人と無事に結ばれました。子爵家の4男ですから、私の近衛の護衛筆頭として、実績を積んでから結婚したいと考えています。護衛筆頭は、昨日、想いを遂げる前、近衛の承認は得ました。陛下には、私の想い人の護衛筆頭をお認め頂きたく存じます。」

フィリップ殿下、何を言っているの？

話が違うよ。
その話は、なしにするんでしょ？

「我が子が想い人との恋を成就させたとは、めでたいことだ。」

成就してない。めでたくない。

全部、誤解。間違いだよ。

離して。離してよ。フィリップ殿下。

ボクが暴れても、フィリップ殿下は全然こたえないみたい。びくともしない。

いやだ。いやだよ。ボクのことを好き勝手にしないで。

お父様、お兄様。助けて。