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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

267.『皆でフィリスを育てるぜ。』ワイバーン姿の神獣パパランが、4歳のフィリスにまとわりつく死者の霊魂がいたことを教えてくれた。

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「デヒルは知らなかったのかー?」
とパパラン。
「今の今まで、知らなかったな。」

「安心しろ。フィリスも知らなかったぞ。」
とパパラン。
「安心していいのか?」

「いいとも。オレたちが面倒みてやっているからな。」
とパパラン。
「オレたち?パパラン、か?」
ワイバーンに子守が可能なのか、とデヒルは不思議に思う。

「パパランだけじゃねーよ。皆、久々の新人育成に燃えているぜ。」
とパパラン。
「皆とは?」

「そのへんにいる暇なやつ。」
とパパラン。
「ガラン領内の神獣、霊獣、幻獣、総出という意味か?」

「おうよ。神木とか、山のやつら、川の奴らもなー。他にも、ふらっときてフィリスを弟子にした奴もいたぞ。」
とパパラン。

デヒルは、この10年ちょっとを思い返した。フィリスの起こした数々の愉快な騒動。騒動が愉快になった原因を今、突き止めた。

ガラン領内に住む愉快な仲間達による、新入りを歓迎するぜ、鍛えるぜ、ヒャッホーな宴が連続開催されていたのだ。
本人と保護者が知らぬ間に。

山で迷子になって、木の枝に引っかかているところを発見されたり、沼にはまって出られなくなったり、花に食われそうになったと言って、逃げたり。

体験したフィリス自身の説明では、おっちょこちょいの子どもが冒険してきたとしか思えなかった。

「『久々の新人だから、育ててやるよ。』
『こいつ、どんくせーな。』
『ばばっと、出来ないのか。』
『手加減って、何だっけ?』
『人の子どもは、弱っちいのう。』
『やべー。殺しかけたかも。』
とか、オレたちも試行錯誤しながら、育てたぜ。」
とパパラン。

「待て、殺しかけた、とは何だ?」
デヒルには、今、聞き捨てできない言葉があった。

「フィリスは、人の肉体だから、オレたちより脆弱だってこと。」
とパパラン。
「ワイバーンの肉体と比べたら、脆弱だろうな。」

「喜べ。オレたちが育てているうちに、フィリスの泣き方が人間になった。」
とパパラン。

「どういう意味だ?」
フィリスは、生まれた時から人間だが?

「フィリスの周りで死んだ人間が大量にいただろ?あいつら、フィリスから離れなかったんだ。」
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