フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

266.全滅するところをなんとか生き永らえて良かった、と思っていたら、10年以上経って、新事実が発覚したよ。

デヒルは考える。
4歳のフィリスが婿入りを予定していた先は、フィリスより2歳年上の女子。
【神々の子どもたち】の惣領娘。

【神々の子どもたち】の周囲を囲むように、非武装中立地帯が設けられていた。

【神々の子どもたち】は、神界で生まれたが、人の世界で人として生きるために、この地におりてきた、とされるものの総称。

【神々の子どもたち】は彼らの住まう土地から出ると死んでしまうので、一生をおりたった土地で過ごす。

嫁や婿は、外から迎える。嫁や婿に迎えたい相手を見つけると、枕元にメッセージを残す。

フィリスは、生まれて間もなく、メッセージが届いたので、15歳で婿入りすることを考えて養育されていた。

【神々の子どもたち】からのメッセージを受け取ったら、その多くは拒否しない。

嫁入りや婿入りしても、里帰りは自由に出来るし、【神々の子どもたち】の嫁や婿には手を出さないのが、暗黙の了解なので、里帰り中の安全度がはね上がる。
暗黙の了解を知らない連中や無視する連中の周囲に行かなければ、安心して行き来出来る。

【神々の子どもたち】の土地は、招かれた者のみ踏むことが出来る。
よって、不法侵入者は来ない。

我が子に穏やかな人生を願うなら、最高の場所である。

メッセージを受けて、拒否する場合は、メッセージの対象になった子どもの額に大きく☓印をつけて1ヶ月過ごすと、拒否を受け付けてくれる。

【神々の子どもたち】について、嫁や婿が語ることはない。子をなすことはないが、夫婦で穏やかに生き、天寿をまっとうした後に、その地で埋葬される。

襲撃事件で、【神々の子どもたち】は土地ごと神界に戻ったとか、消失したと言われてきたが、詳細を知る者はいなかった。

フィリスを含む、生き残った3人の子どもは、嫁と婿として招かれた者だけ。

3人が、【神々の子どもたち】と会った後に、非武装中立地帯で襲撃にあったのだとしたら？

フィリスを含めた3人の嫁や婿と帰ってこれた者は、嫁や婿を直接守ったり、逃げ切るために功績をたてた者に限られていた。

我が身のためだけに逃げていた者は、1人も助かっていない。

どう考える？

人の身に何らかの恩恵を受けたお陰で、全滅せずに生き延びれたのだとしたら。

その恩恵は、祝福か？
はたまた、呪いか？