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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

254.結婚する当事者が望む婚約者と、権力者が政略結婚の利を得るために充てがいたい婚約者が、必ずしも一致するとは限らないときもある。

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「婚約者が、フィリス叔父上を指名したのは、2人で支え合いたいから、ですか?」
と長男。
「皇弟の理由はな。」
とデヒル。
「皇帝がマーゴット叔母上を指名したのは何故ですか?婚約者本人が、マーゴット叔母上を求めていないと知った上ですよね?」
と長男。
「皇帝は、為政者だからな。ガラン家の政略結婚を正しく理解している。」
とデヒル。
「ガラン家の政略結婚?」
長男は首をかしげた。

「次代にガランの血筋が残らない結婚は、ガラン家にとって政略結婚に当てはまらない。」

「よくわかりません。」

「次代が誕生しない同性婚では、ガラン家との政略結婚は成立しない。ハーマルの結婚のように。」
とデヒル。
「皇帝は政略結婚をさせたいから、マーゴット叔母上を指名したんですか。」

「そうだ。」

「該当する皇国は1つしかありませんよ。ガラン家との政略結婚がなくても問題ない国ですよね?」
と長男。
「自分か、子どもの代で、同じ轍を踏む真似はしたくなかったのだろう。」
とデヒル。
「過去に何かありました?」
と長男。
「かつて、その皇国の継承権の低い皇女が、外交のため外国にいたガラン本家についていた分家の男子を力技で婿入りさせた。」
とデヒル。
「え!知りませんでした。」
女の人に力技で挑まれたの?皇女様が強いのか、ガランの人間がか弱いのか。

「きっかけは、無理矢理とはいえ、婚姻は認められ、夫婦には子どもが1人出来た。継承権の低い皇女は、危険地域に率先して立ち入り、皇国の権威で問題解決にあたることを良しとしていた。」
とデヒル。
「勇猛果敢な皇女様だったんですね。」
と長男。

「あるとき、皇女が訪問先で襲われ、重体になったとの知らせが、皇女宮に届いた。せめて母が生きているうちにお顔を、と言い出した者達の手配で、皇女宮から皇女の元へ移動中、子どもは襲撃で死亡。」
とデヒル。
「分家の男子は?」
と長男。
「分家の男子は、貴族籍を持っていないから、皇女と並んで公の場に出ない。皇女から離れた場所で待機していたため、難を逃れた。」
とデヒル。
「それで、どうなったんですか?」
と長男。
「ガランの血を引く次代が死亡し、婚姻相手も死亡している。ガランの血を引く次代が望めないことから、当該婚姻は遡って無効。」
とデヒル。
「そうなるんですね。」
政略結婚の意味を考えたら、なるほど納得。

「襲撃に関わったのは、皇国の属国のうちの3つ。そのうちの1つは、ガランの血を引く次代の命を奪ったから、おとした。
残り2つも、ガランがおとすか、皇国が始末をつけるか、決断を迫った結果、残り2つは皇国がやった。」
とデヒル。
「現在、皇国は、ガランがおとした属国を1つ失ったままで、自分で始末をつけた2つは属国ではなく支配地域として、統治しているんですか?」
と長男。
「そうだ。」

「ガランがおとした属国は?」
と長男。
「離れているが、ガランの支配下にある。今も、時々、分家が入る。詳しくは、帰ってから教えよう。待てなければ、マーゴットに聞いてもよい。」
とデヒル。
「皇弟とフィリス叔父上の関係が破綻したり、フィリス叔父上が皇国から出ていけば、ガランとの関係は遡ってなかったことになる。だから。」
と長男。
「ガランと手を組むことを本気で考えるなら、同性婚は選択肢に入れない。」
とデヒル。
「事情は分かりましたが、2人とも欲しがるなんて図々しいですよね?」
と長男。
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