上 下
244 / 1,412
第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

246.房中術で生き延びた末の弟を真に癒やし甘やかすことが出来るのは誰?長兄デヒルが末の弟フィリスに房中術の手ほどきを決めたとき。

しおりを挟む
「姫君の例えですと、助け出した王子と姫君は、結ばれますが、フィリス様を連れ戻された後はいかがされるので?」

「私が、フィリスを甘やかすのは、2人とも、領内に戻ってきてからだな。」
とデヒル。

「そうなりますなあ。」

「どうした?」

「マーゴット様やハーマル様では、今のフィリス様を慰めることは出来ませんぞ。」

「マーゴット様は、フィリス様にとって、守るべき妹御。苦しみをマーゴット様に知られまいと頑張られるでしょう。」

「ハーマル様は、真正の箱入りですから、ことの理解が難しいでしょう。」

「お2方では、フィリス様の助けにはならないでしょうな。」

「ダルク様はお父上。当然、フィリス様に苦しみを与えた者を取り除くでしょうが、ガラン領内で甘やかすとなると、完全にしまい込む方向になりますぞ。デヒル様の思い描く絵とは一致しないのでは?」

「房中術の手ほどきをしたのは、ダルク様ではなくデヒル様というところも、大きいですが。」

「私が体を使って生き残る方法を教えて、開眼させたからな。」
デヒルは、ふうっと息を吐く。

「『何かのときは、共に墓に入るか?』『お父様とどこまでもご一緒します。』
という会話が、父上と年端も行かぬ弟の間で交わされていると知ったらな。
父上には、フィリスに房中術を仕込むことは提案したが、父上が教えると、2人の関係上、フィリスと父の関係が変わるだろう。兄の私が教えた方が、丸くおさまる。」
とデヒル。

「デヒル様の奥方様は、歓迎していらっしゃいませんでした。」
夫が、夫の実弟と寝室に籠もって、体の使い方を教えると聞いたら、面白くはない。
夫の実弟の立ち位置は、姫君。基本的に家族をはじめ、家人からちやほやされている。
夫の実弟は、ある日、甘やかされた子どもから、妻の立場を脅かしにくるかもしれない存在に繰り上がった。
妻の中で。
夫のデヒルに実弟を愛人にする気はなくとも、夫と実弟の関係は、妻の心を乱した。

フィリスは、当然のように、父ダルクに次いで、長兄デヒルへの依存度が高い。

「兄の妻、義理の姉の立場だから、フィリスへの感情が乱れても、フィリスとは距離をとれる。」
とデヒル。
「もし、父上が手ほどきしたら、母上が同じ反応をしたかもしれない。そうなれば、フィリスは、家庭に居場所を無くしていた。父上と母上の関係が壊れたら、今ほど長閑な時間はなかっただろう。」
とデヒル。

「慧眼でございます。」

「学校に行かずに、ガランから出ないとフィリスの宣言した後に、房中術の教育を始めたのが、妻の疑心暗鬼を招いたな。
あの時期でないと、と頭で理解しても、感情は追いつかない。」
とデヒルは妻の状況を語る。

「今まで、マーゴットとハーマルが緩衝材になっていた。2人がガラン領からいなくなる。フィリスの関係を、妻とフィリスと我が子とで詰めていくか。」
とデヒル。

「妻と我が子に絞られないのですね?」

「フィリスは、一生、私の弟として、ガランで生きる。わかるな?」
とデヒル。

「かしこまりました。徹底いたします。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!

梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!? 【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】 ▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。 ▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。 ▼毎日18時投稿予定

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。

小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。 そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。 先輩×後輩 攻略キャラ×当て馬キャラ 総受けではありません。 嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。 ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。 だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。 え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。 でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!! ……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。 本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。 こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生悪役令息、雌落ち回避で溺愛地獄!?義兄がラスボスです!

めがねあざらし
BL
人気BLゲーム『ノエル』の悪役令息リアムに転生した俺。 ゲームの中では「雌落ちエンド」しか用意されていない絶望的な未来が待っている。 兄の過剰な溺愛をかわしながらフラグを回避しようと奮闘する俺だが、いつしか兄の目に奇妙な影が──。 義兄の溺愛が執着へと変わり、ついには「ラスボス化」!? このままじゃゲームオーバー確定!?俺は義兄を救い、ハッピーエンドを迎えられるのか……。 ※タイトル変更(2024/11/27)

願いの守護獣 チートなもふもふに転生したからには全力でペットになりたい

戌葉
ファンタジー
気付くと、もふもふに生まれ変わって、誰もいない森の雪の上に寝ていた。 人恋しさに森を出て、途中で魔物に間違われたりもしたけど、馬に助けられ騎士に保護してもらえた。正体はオレ自身でも分からないし、チートな魔法もまだ上手く使いこなせないけど、全力で可愛く頑張るのでペットとして飼ってください! チートな魔法のせいで狙われたり、自分でも分かっていなかった正体のおかげでとんでもないことに巻き込まれちゃったりするけど、オレが目指すのはぐーたらペット生活だ!! ※「1-7」で正体が判明します。「精霊の愛し子編」や番外編、「美食の守護獣」ではすでに正体が分かっていますので、お気を付けください。 番外編「美食の守護獣 ~チートなもふもふに転生したからには全力で食い倒れたい」 「冒険者編」と「精霊の愛し子編」の間の食い倒れツアーのお話です。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/2227451/394680824

平凡冒険者のスローライフ

上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。 平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。 果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか…… ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。

もう人気者とは付き合っていられません

花果唯
BL
僕の恋人は頭も良くて、顔も良くておまけに優しい。 モテるのは当然だ。でも――。 『たまには二人だけで過ごしたい』 そう願うのは、贅沢なのだろうか。 いや、そんな人を好きになった僕の方が間違っていたのだ。 「好きなのは君だ」なんて言葉に縋って耐えてきたけど、それが間違いだったってことに、ようやく気がついた。さようなら。 ちょうど生徒会の補佐をしないかと誘われたし、そっちの方に専念します。 生徒会長が格好いいから見ていて癒やされるし、一石二鳥です。 ※ライトBL学園モノ ※2024再公開・改稿中

処理中です...