フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

243.長男デヒルが考える、国王陛下が父ダルクへうざ絡みする理由は、愛憎ゆえの執着？

「何だって、国王はガランにうざ絡みするんでしょうなあ？」
と軍の幹部。
「答えは、1つだろう。」
とデヒル。
「国王陛下は、先代国王陛下と先代ガラン家当主の親しい関係を見て育っている。2人の関係に憧れがあり、先代ガラン家当主に執着を見せていた、と聞くが。
本当にそうか？

国王陛下の父親としての関心が、子どもである自分にないと知っていたからじゃないのか。先代ガラン家当主がいるときは、先代国王陛下が父親らしい振る舞いをしたんじゃないかと思う。
国王陛下に父親としての役割を求め、その実現のために先代ガラン家当主に執着していたように聞こえたな、私には。
先代ガラン家当主は、父親からの愛情に飢えている子どもがいても、安易に父親の代わりに愛情を与えることなど、しない方だった。
父親でもなく、先代ガラン家当主でもなく、期待した愛情を与えてくれる存在として、我が父の存在を待ち望んだんだろう。
自分の代ではもっと親密になれると期待していたのに、我が父は、国王陛下に関心がない。我が父へ愛を乞う心と、袖にされた逆恨みとが相まって執着になったんじゃないのか。」
とデヒル。
「いや、ダルク様は当時、10歳にもなってなかった、という話でしたよね？そんな子どもに縋って、叶えられなかったから、何十年も愛憎マシマシ、なんて、怖すぎですよ。」
と文官の幹部。
「そうだ。覗いてはいけない深淵だな。だから、我が父は、王都邸にいても、夜会をはじめ、国王陛下に出くわす機会を作らない。」
とデヒル。
「だから、今までご無事で。」
と文官の幹部。
「当主がお楽しみでもないのに、手籠めにされるわけにはいかないだろ。」
とデヒル。
「はい。じゃ、フィリス様の場合は？」