222 / 1,415
第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?
223.最期は故郷の家族の元に還したい。戦えないから、逃げたり避けたりするだけの主人は、生き抜いて、故郷に戻り、捜索隊を出してみせる。
しおりを挟む
加速度つけて、突き進む。
バキバキ、ドゴドゴと壁や天井、床板が何かにぶち当たって変形している。
「次で、最高速度になります。最高速度になったら、すぐ行動ですよ。敵が速さに慣れたら、私共は不利です。」
「分かった。」
「秒読み開始。」
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1。」
「進め。」
勢いよく全員が前方へ飛び出す。
ハーマルも、ポケットのチャーチャに、落ちないようにと言い聞かせて飛び出す。
飛距離を伸ばしつつ、視界の開けた場所に出ると、狙い撃ちにされるので、障害物を利用しながら突き進む。
ハーマルが標的にならないように、ハーマルが失敗したら、誰かがもっと大きく失敗して、ハーマルへの攻撃を逸らす。
今回の作戦をきいているので、犠牲者を出したくないハーマルは、注意深く慎重に動いている。
チャーチャも周囲を警戒しているようだ。
それでも、どんなに注意深く振る舞っても、思い描いた通りに進むばかりではない。
ハーマルは、何度か失敗して、攻撃にさらされた。失敗しなくても、予測しなかった攻撃を受けたりもした。その度に、王都の家族を1人2人と欠いていく。
視界の端や研ぎ澄まされた聴覚が惨劇を拾う。
立ち止まらないで進むこと、振り返らないこと、生きてガラン領に辿り着くこと。
ハーマルは出来ることを確実にこなしていくのみ。
ガラン領に隣接する2つの男爵領、ノア男爵領とベイモン男爵領の境目を交互に出たり入ったりして、ジグザグに進む。
領境にはノアとベイモンの両方が兵を配置している。
男爵領の領地を突っ切って、ガラン領を目指すとなると、どうしても目立つ。隠れて動くより、監視する目が多い方を選んだ。
注目を浴びることで、刺客の目撃者も増やす。
当たり前のように、魔法や、呪術、暗器が飛び交う中で、1人1人が、足をとめず、攻撃を交わして前に進む。
体力と気力、集中力が欠かせない。
早い段階で囮を買ってでた者達は、その3つのどれかが足りなくなって、途中で脱落することになると自覚していた。
能力が減退した中で囮になるより、足止めを兼ねられるうちに、と囮役に立候補していった。
ハーマルは誓う。
ガラン領に着いたら、絶対に捜索隊を出す。
もし、体のどこかを失っていても、意識を取り戻す見込みがなくなっていても、もう息をしていなくても、最期は故郷の家族の元で。
ハーマルの自己満足で、わがままかもしれない。
ハーマルが家族大好きっ子だから。
ハーマルは、ガラン家当主の息子で、皆の主人だから、わがままでもいい。
最期まで、土に還る瞬間まで、ありがとうと大好きを伝えたい。
そのための人手がたくさんいるから、父と兄にお願いしなくては。
ハーマルは、気を引き締める。
あるものをあるがままに受け入れてきたハーマルだけど、これからは、自分のしたいことのために、考えて動くのだ。
バキバキ、ドゴドゴと壁や天井、床板が何かにぶち当たって変形している。
「次で、最高速度になります。最高速度になったら、すぐ行動ですよ。敵が速さに慣れたら、私共は不利です。」
「分かった。」
「秒読み開始。」
「10、9、8、7、6、5、4、3、2、1。」
「進め。」
勢いよく全員が前方へ飛び出す。
ハーマルも、ポケットのチャーチャに、落ちないようにと言い聞かせて飛び出す。
飛距離を伸ばしつつ、視界の開けた場所に出ると、狙い撃ちにされるので、障害物を利用しながら突き進む。
ハーマルが標的にならないように、ハーマルが失敗したら、誰かがもっと大きく失敗して、ハーマルへの攻撃を逸らす。
今回の作戦をきいているので、犠牲者を出したくないハーマルは、注意深く慎重に動いている。
チャーチャも周囲を警戒しているようだ。
それでも、どんなに注意深く振る舞っても、思い描いた通りに進むばかりではない。
ハーマルは、何度か失敗して、攻撃にさらされた。失敗しなくても、予測しなかった攻撃を受けたりもした。その度に、王都の家族を1人2人と欠いていく。
視界の端や研ぎ澄まされた聴覚が惨劇を拾う。
立ち止まらないで進むこと、振り返らないこと、生きてガラン領に辿り着くこと。
ハーマルは出来ることを確実にこなしていくのみ。
ガラン領に隣接する2つの男爵領、ノア男爵領とベイモン男爵領の境目を交互に出たり入ったりして、ジグザグに進む。
領境にはノアとベイモンの両方が兵を配置している。
男爵領の領地を突っ切って、ガラン領を目指すとなると、どうしても目立つ。隠れて動くより、監視する目が多い方を選んだ。
注目を浴びることで、刺客の目撃者も増やす。
当たり前のように、魔法や、呪術、暗器が飛び交う中で、1人1人が、足をとめず、攻撃を交わして前に進む。
体力と気力、集中力が欠かせない。
早い段階で囮を買ってでた者達は、その3つのどれかが足りなくなって、途中で脱落することになると自覚していた。
能力が減退した中で囮になるより、足止めを兼ねられるうちに、と囮役に立候補していった。
ハーマルは誓う。
ガラン領に着いたら、絶対に捜索隊を出す。
もし、体のどこかを失っていても、意識を取り戻す見込みがなくなっていても、もう息をしていなくても、最期は故郷の家族の元で。
ハーマルの自己満足で、わがままかもしれない。
ハーマルが家族大好きっ子だから。
ハーマルは、ガラン家当主の息子で、皆の主人だから、わがままでもいい。
最期まで、土に還る瞬間まで、ありがとうと大好きを伝えたい。
そのための人手がたくさんいるから、父と兄にお願いしなくては。
ハーマルは、気を引き締める。
あるものをあるがままに受け入れてきたハーマルだけど、これからは、自分のしたいことのために、考えて動くのだ。
0
お気に入りに追加
337
あなたにおすすめの小説
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
英雄様の取説は御抱えモブが一番理解していない
薗 蜩
BL
テオドア・オールデンはA級センチネルとして日々怪獣体と戦っていた。
彼を癒せるのは唯一のバティであるA級ガイドの五十嵐勇太だけだった。
しかし五十嵐はテオドアが苦手。
黙って立っていれば滅茶苦茶イケメンなセンチネルのテオドアと黒目黒髪純日本人の五十嵐君の、のんびりセンチネルなバースのお話です。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
幽閉王子は最強皇子に包まれる
皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。
表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
【R18+BL】ハデな彼に、躾けられた、地味な僕
hosimure
BL
僕、大祇(たいし)永河(えいが)は自分で自覚するほど、地味で平凡だ。
それは容姿にも性格にも表れていた。
なのに…そんな僕を傍に置いているのは、学校で強いカリスマ性を持つ新真(しんま)紗神(さがみ)。
一年前から強制的に同棲までさせて…彼は僕を躾ける。
僕は彼のことが好きだけど、彼のことを本気で思うのならば別れた方が良いんじゃないだろうか?
★BL&R18です。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる