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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?
160.特定の相手がいない男性が公の場で、彼の母親に対して、男が女する紳士的な振る舞いをしているのを見たら、嫉妬する?安心する?逃げる?
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「成人後はコーハ王家の成人王族として、国を盛り立てていく。」
第4王子フィリップ殿下から始まり、成人の儀の昼の部は恙無く終了。
夜会がスタート。
第4王子殿下の初ダンスのお相手を務めたのは、実母の王妃陛下であった。
選ばれなかったがっかり感と、実母に負けるのも仕方ないという諦めの後、すぐに気持ちを切り替え、一曲でも是非と狙う令嬢とその他親達により、そこここで熾烈な駆け引きや蹴落とし合いが繰り広げられた。
ウィルソンとレオナルドはフィリップ殿下と同い年である。
特大な餌のフィリップ殿下の側近として仲良く並んでいるが、2人とも公爵家の次男。
地位も名誉も十分あり、フィリップ殿下と並んでも見劣りしない容姿と知性。
狩人には、3人とも、腹が満たされる獲物。
場外乱闘も、起こしながら終了した。
「愛しいフィリスに祝われたかった。」
フィリップ殿下の本日の感想はこれに尽きた。
誰がどんな祝いを述べようと、媚びをうろうと、フィリップ殿下の感情は砂浜の波を見るくらい平坦なままだ。
寄ってるなー。ひいてるなー。また寄ってるなー。
ウィルソンもレオナルドも、見過ぎるほど見てきて、慣れてきた。
主人である第4王子フィリップは、11歳で7歳のフィリスを見初め、4年間片思いを熟成させた結果、14歳にして、11歳の(誕生日の時期の関係で、フィリスが10歳から11歳になる方が、フィリップ殿下が14歳から15歳になるより早かった)フィリスに泣いて保護者を呼ばれるくらいの何かを心の中に育ててしまった。
15歳になったところで、何も変わろうはずがない。
進化しないことを祈り、4歳下のフィリスに実害が出ないようにするのが精一杯である。
フィリップ殿下はフィリスに欲情しているが、11歳のフィリスは同性を性欲の対象にしていない。
フィリスは自分を男だと認識しており、男は友人枠に入れている。
同性に対しては、父、兄弟、友達、友達の家族、知らない人の枠組みで全て分類している。
15歳になったウィルソンとレオナルドから見て、フィリスは異性愛者にしか見えない。
フィリップ殿下の重い思いが、成就する未来は来ないと断言出来る。
王族として、最大のネックであるガランへの理解を深めても、フィリスがフィリップ殿下の隣に立つことはないだろう。
フィリスの語る未来は、愛するガラン領に住み、ガラン領のために生き、ガラン領に骨を埋めること。
2人の未来は交差さえしない。
現在、フィリップ殿下が無理やり絡み付いているから、交流があるにすぎない。
フィリスは、どれだけフィリップ殿下が一緒に過ごす時間を捻出しても、フィリップ殿下に一欠片の関心も持っていない。
いっそう残酷なくらいにハッキリしている。
口では、嫌とか、嫌いとか言うが、目の前にいなければ、どうでもよいのは明白。存在を思い出しさえしない。
興味がないことをフィリスは隠さない。
フィリップ殿下の片思いを知っていても、自分のために利用したりはしない。
決して思いに応えることがないフィリスなりの誠実さだ。
フィリスの誠実さが、フィリップ殿下の昏く救いのない片思いの昇華に繋がればよいのに。
ウィルソンもレオナルドも、フィリップ殿下とは側近として10年くらい付き合ってきた。
情もある。
才能に胡座をかかない努力家の一面も知っている。一緒に切磋琢磨してきた仲だから。
フィリスがつれないのをわかっていながらも、フィリスにしか思いを向けることが出来ない不器用さ。
諦めた方が絶対楽に生きられる。
でも、その思いを誤魔化したり、封印してしまったら、フィリップ殿下は、皆の人気者の姿を保てなくなるに違いない。
もし、ガランとの誓約に引っかかり、フィリップモリスが王族でなくなったり、国外へ出ることになったりして、ウィルソンとレオナルドが側近でいられなくても、せめて、幼馴染として力になりたい。
口には決してだすことが出来ない、ウィルソンとレオナルドの成人の儀の誓いである。
第4王子フィリップ殿下から始まり、成人の儀の昼の部は恙無く終了。
夜会がスタート。
第4王子殿下の初ダンスのお相手を務めたのは、実母の王妃陛下であった。
選ばれなかったがっかり感と、実母に負けるのも仕方ないという諦めの後、すぐに気持ちを切り替え、一曲でも是非と狙う令嬢とその他親達により、そこここで熾烈な駆け引きや蹴落とし合いが繰り広げられた。
ウィルソンとレオナルドはフィリップ殿下と同い年である。
特大な餌のフィリップ殿下の側近として仲良く並んでいるが、2人とも公爵家の次男。
地位も名誉も十分あり、フィリップ殿下と並んでも見劣りしない容姿と知性。
狩人には、3人とも、腹が満たされる獲物。
場外乱闘も、起こしながら終了した。
「愛しいフィリスに祝われたかった。」
フィリップ殿下の本日の感想はこれに尽きた。
誰がどんな祝いを述べようと、媚びをうろうと、フィリップ殿下の感情は砂浜の波を見るくらい平坦なままだ。
寄ってるなー。ひいてるなー。また寄ってるなー。
ウィルソンもレオナルドも、見過ぎるほど見てきて、慣れてきた。
主人である第4王子フィリップは、11歳で7歳のフィリスを見初め、4年間片思いを熟成させた結果、14歳にして、11歳の(誕生日の時期の関係で、フィリスが10歳から11歳になる方が、フィリップ殿下が14歳から15歳になるより早かった)フィリスに泣いて保護者を呼ばれるくらいの何かを心の中に育ててしまった。
15歳になったところで、何も変わろうはずがない。
進化しないことを祈り、4歳下のフィリスに実害が出ないようにするのが精一杯である。
フィリップ殿下はフィリスに欲情しているが、11歳のフィリスは同性を性欲の対象にしていない。
フィリスは自分を男だと認識しており、男は友人枠に入れている。
同性に対しては、父、兄弟、友達、友達の家族、知らない人の枠組みで全て分類している。
15歳になったウィルソンとレオナルドから見て、フィリスは異性愛者にしか見えない。
フィリップ殿下の重い思いが、成就する未来は来ないと断言出来る。
王族として、最大のネックであるガランへの理解を深めても、フィリスがフィリップ殿下の隣に立つことはないだろう。
フィリスの語る未来は、愛するガラン領に住み、ガラン領のために生き、ガラン領に骨を埋めること。
2人の未来は交差さえしない。
現在、フィリップ殿下が無理やり絡み付いているから、交流があるにすぎない。
フィリスは、どれだけフィリップ殿下が一緒に過ごす時間を捻出しても、フィリップ殿下に一欠片の関心も持っていない。
いっそう残酷なくらいにハッキリしている。
口では、嫌とか、嫌いとか言うが、目の前にいなければ、どうでもよいのは明白。存在を思い出しさえしない。
興味がないことをフィリスは隠さない。
フィリップ殿下の片思いを知っていても、自分のために利用したりはしない。
決して思いに応えることがないフィリスなりの誠実さだ。
フィリスの誠実さが、フィリップ殿下の昏く救いのない片思いの昇華に繋がればよいのに。
ウィルソンもレオナルドも、フィリップ殿下とは側近として10年くらい付き合ってきた。
情もある。
才能に胡座をかかない努力家の一面も知っている。一緒に切磋琢磨してきた仲だから。
フィリスがつれないのをわかっていながらも、フィリスにしか思いを向けることが出来ない不器用さ。
諦めた方が絶対楽に生きられる。
でも、その思いを誤魔化したり、封印してしまったら、フィリップ殿下は、皆の人気者の姿を保てなくなるに違いない。
もし、ガランとの誓約に引っかかり、フィリップモリスが王族でなくなったり、国外へ出ることになったりして、ウィルソンとレオナルドが側近でいられなくても、せめて、幼馴染として力になりたい。
口には決してだすことが出来ない、ウィルソンとレオナルドの成人の儀の誓いである。
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