フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

141.親子、兄弟の関係で、ついた傷は浅くても残る。背負っていくもののために、傷つきながら立ち上がろう。泣きたい気持ちはずっと一緒だ。

ジーンの紹介でウィルソンとも仲良くなれたよ。
ラウルに紹介してもらったレオナルドも優しくしてくれた。

2人は公爵子息として、お仕事があるから、あまり会えないけれど、王都に来たら、また遊ぼうね、て約束したの。

ジーン、シドニー、ラウル、エスター、ノーマ、シエルともたくさん遊んで、2回目の王都も楽しかった。

デヒルが引率したフィリスの王都滞在は、2回目も大成功に終わった。

その後、フィリスの王都滞在は、3回、4回、と順調だった。



一方、第4王子フィリップ殿下に対する、ガランとの誓約を遵守させるための教育は困難を極めた。

側近2人より、実父母である国王と王妃の言葉が響くのは、子どもだから仕方ない。

仕方ないが、いつまでも子どもではいられない。

第4王子フィリップ殿下が、ボンクラであったなら、継承権を返上して臣籍降下という、王族籍剥奪が解決手段になっただろう。

フィリップ殿下は、出来る王族だった。コーハ王国の臣籍降下は、王族として公務にあたるより、身分を下げて、責任の範囲も狭めた方が本人にも周りにもよい場合に使う手段だ。
王族として有能ぶりを発揮し始めた第4王子の臣籍降下など、誰が了承出来ようか？


将来有望な第4王子と結婚すれば、王子妃になれる。国中のご令嬢とその親兄弟は色めきたった。


第2王子、第3王子は自分のしたいことを優先することが多く、好き嫌いがはっきりしている。万人受けはしない。

王太子は既婚者。

そして、1番のポイント。
第3王子までは、先代国王陛下寄りで、実父母の国王陛下夫妻とは疎遠ぎみだが、
第4王子は国王陛下夫妻が、目の中に入れても痛くないほど可愛がっている。

いくら、王太子とはいえ、国の最高権力者に嫌われている王子様より、可愛がられている末の王子様の方が、ご令嬢の親兄弟にとってのメリットは大きい。

もしかしたら、王太子変更があるかもしれないし。

第4王子は王妃陛下が心血を注いだ結晶。
賢さもさながら、子どものときから、どんな女性に対してもスマートな対応ができた。
国中のご令嬢から、あっという間に結婚したい男性第1位に。

加えて、若い女性に人気の最大の理由は、4人いる王子殿下の中で、際立って容姿がよろしかったこと。

『フィリップ殿下と結婚できる方は幸せね。あのお顔を毎日拝めるんだもの。』



第4王子フィリップ殿下の婚約者探しフィーバーを見ながら、王太子はハラを決めた。

第4王子に対するガラン絡みの教育の成果は全く出ていない。
第4王子にかける時間と労力は、自分達の未来のために使う。

遠くない未来。
実父母の国王陛下夫妻と実の末の弟を一緒に切り捨てる日のために。