フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

138.『成人済みの後継ぎより、1番下の弟の方が賢い。長男がいなかったら後継ぎになれるんじゃない。』は、勤務先で言ったらだめな台詞。

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「お前の1番下の弟が、うちの可愛い弟に仕出かしてくれた件から1年経ったが?」
とデヒル。

本日、デヒルが王太子と会っているのは、殴って喜ばれるためではない。

次期当主として、兄として、ガラン子爵家の可愛い4男フィリスが、第4王子から迷惑を被った件の事後報告を聞きに来た。

話に来るのは、当主である父でも良い。
しかし、父が王城に来るには、面倒が多い場所なのだ。王城での騒ぎが、王都を楽しんでいるフィリスに飛び火したら、本末転倒。

王太子に待ち望まれていると評判のデヒルが、ガラン子爵家の代表で王城にきたわけだ。


王城には、ダルクがかつての行いを反省し、頭を下げに来たとか、無礼を働きにきた、と迷走する勢力が未だに残っている。


かつて、王城で騒いだ職員は、ガラン子爵家の悪評高いダルクという危険人物がきたから、周囲に注意喚起を促したと誇らしげであった。
『勇者よ、ありがとう!助かった!』という声もあがった。

その日のうちに、騒いだ者と同調した者の姿も荷物もなくなっていたので、今もきっと騒ぎたい放題の新天地にいるのだろう。

何しろ、デヒルが成人の儀のために、当主である父と王城の受付にいたときの話である。
一生忘れられない出来事になった。


「4番目が本当にごめんねー。1番目の私と2番目と3番目の双子は側近がはっちゃけて、4番目は本人が。」
と王太子。

「ケンカを吹っ掛けるのが、楽しいのか?」
とデヒル。

「私も2番目も3番目も楽しくないんだけど、4番目は楽しくて、忘れられない、フィリスにまた会うと言っているんだ。」
と王太子。

「4番目だけ、反応が違うな。」
とデヒル。

「私達、上3人は、祖父に練り込まれる勢いで教育された。4番目だけは、父と母が主体なんだ。母は特に、4番目を構いたがった。上3人が義父と過ごす時間が長かったから、4番目だけは手放すまいと熱心に教育した。」
と王太子。

「甘やかす方向にはいかなかった?」
とデヒル。

「義父が育てるよりも、母が育てた4番目は優秀だという評判が必要だったのだろう。母の自尊心と、子どもをとられまいとする母の思いのために。」
と王太子。

「4番目が王太子を凌ぐ優秀さ、か。成人済みの王太子がいる中で、未成人の子どもを担いだら国を割るということが、わからない素人の巣窟になっているのか?この城は。」
とデヒル。

「騒ぐ連中の人数は多くない。ただし、声が大きく、口さがない。」
と王太子。

「少数のアジテーターが我が物顔でいるのは、後ろ盾があるから、だな?」
とデヒル。

「済まないね。力が及ばなくて。」
と王太子。
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