フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

131.遠隔操作による攻撃と絨毯爆撃があったんだよ。異世界なのに。

ガラン子爵家王都邸。
本日2組目の来客があった。

「お会い出来て光栄です。」
デヒルに挨拶したのは、正直過ぎる物言いだと家族から指摘されていたラウルの姉である。

「私とガラン子爵家にとって、役に立つかは分からないが、興味がありそうな話をしたい。そう聞いたが？」

「間違いございません。お時間を頂戴して、お耳に入れたいと考えたのは、私個人です。家の方では、私の考えを知りません。ご了承の上、お聞きください。一通り、お聞きになってから、ご判断願います。時々、私から質問を挟んでも、必要ですので、お答えくださると助かります。」
とラウル姉。

「話せ。」

「私は、弟ぎみの1件への先代国王陛下の介入がない理由が、先代国王陛下のご様子だと耳にし、先代国王陛下が無力化した原因を知ろうとしました。」
とラウル姉。

「先代国王陛下が無力化した時期は、先代のガラン子爵家ご当主がお亡くなりになったとの発表があった直後から。」

「4年前、先代のガラン子爵家ご当主夫妻は、外遊中、非武装中立地帯にて襲撃を受けて死亡し、実行犯などの特定には至っていないために、ガラン家が非常事態宣言をされました。」

「非武装中立地帯には、世界中から監視を出しています。非武装中立地帯内において、武器の携帯と武力行使は、世界各国の紳士協定により禁止されていました。」

「監視を担当した国々の発表では、襲撃犯の姿は確認出来ず、攻撃だけが飛来し、人を殺した。人が迎撃すると、空中を飛来物が複数移動しながら、地面めがけて、余すところなく途切れなく攻撃を続けた。攻撃が止んで、飛来物もなくなった後、監視が、滞在者全員の死亡を確認した。」

ここまでが、事実、とラウル姉は言った。

「攻撃の正確さと、迎撃されてからの攻撃方法の切り替えの早さから、狙いを定めて準備していたと推測できる。」

ここまでが、各国の報告、齟齬はありませんでしたよね、と言うと、ラウル姉はデヒルを見た。

「ここから、私のお耳に入れたい話です。」

「最初の攻撃は、遠隔地から、人に照準を絞って攻撃しています。攻撃するための技術があれば、どれだけ離れていても可能です。攻撃してくるものは、空高い場所など、人のいない空間を高速で移動するので、見慣れていなければ、攻撃だとわかりませんから、目撃情報も集まりにくいのです。」

「次に、迎撃後の攻撃。絨毯爆撃と呼ぶ手法で、その地を無差別破壊、無差別殺戮するためのもの。上空から地面めがけて攻撃が高速で落下してきます。視認できても避ける暇がなく、場所もないほど、攻撃の雨が降り注ぎます。絨毯爆撃というのは、一帯を隙間なく集中攻撃を加えるもので、生き延びられるかは、瓦礫の隙間で助かったとかの僅かな確率しかありません。」

「これらの攻撃は、地球という異世界での現代戦で実際に使用されていた手法です。参加者ではなくとも、知りたいと思えば、知る手段が地球にはありました。攻撃結果を含めて、世界中に公開されていまして、その時代に生まれていなくても、過去の情報として知ることができます。」

「似ていませんか？私は似すぎだと思いましたよ。」
とラウル姉。

「地球には魔法がないので、技術の進歩によりこれらの攻撃を可能にしました。」

「この世界では、魔法も呪法もあります。地球から技術と戦闘方法が導入されれば、攻撃の精度はよりいっそうあがったことでしょう。」