フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

文字の大きさ
上 下
116 / 1,439
第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

117.上の3人の王子方への教育的指導は、祖父の先代国王陛下が担当。今回のフィリップ殿下の件、実父の国王陛下も祖父も動かないとなると?

しおりを挟む
「ラウルが聞いてきた話だと、王太子殿下は、ご自身で側近の落とし前をつけましたよね?」
と姉。

「そうだな。」

「第2王子殿下と第3王子殿下を指導したのは王太子殿下ですか?」
と姉。

「いや、先代国王陛下だ。
王子殿下方が、問題を起こしたと聞くなり、すぐに再教育や、謝罪の手配を命じられた。」

「国王陛下は、王子殿下の教育に携わっていないのですか?」
と姉。

「先代国王陛下が、兄の再教育が完全には済まなかったから、孫の代は間違えないようにしたい、と、積極的に参加されていた。どちらがどのくらいの関わりだったかまでは、わからない。」

「子どものとりあげに、国王陛下ご夫妻は文句言わないんですか?」
と姉。

「側近や側近候補になった数をまとめて指示していたが、とりあげになるのか?」

「親子の関係が断絶してないなら、言わないかもしれません。」
と姉。

「立ち入ったことを聞くのは、ね。」

気を使わせてごめんなさい、と姉は謝った。

再教育がうまく終わっていないと父親から言われている兄とは、暗殺者を送り込まれる日が終わっても、関係は良くなっていない。
その兄の子どもの周辺にちょっかいなど出したら、新たな燃料投入と見られかねないのだろう。
感情の問題もあるが、父も王弟という立場上、身軽ではない。

いや、いい、話題になったから、気付いたことがある、と父は言った。
「上の3人の王子殿下は先代国王陛下の介入で一応の事なきを得たが、フィリップ殿下の件に関しては、先代国王陛下を期待出来ない。」

「どうしてですか?」
とラウル。

「先代国王陛下は、体調が思わしくないのだよ。」

「フィリップ殿下がガラン子爵家の子どもにした振る舞いを聞いても、人の手配を命じられないくらい、でしょうか?」
とラウル。

「難しいな。」

「いつからですか、お父様。」
と姉。

「ガラン子爵家の先代当主が亡くなられた後からだよ。3年、4年前かな。気力を失われてしまい、もう表舞台には出せない。ご本人のためにも。」

「正気を保てなくなっていますか?妄想と現実の区別がつかずに怒ったり、暴れたり、徘徊されたりしていますか?」
姉は容赦なく質問していく。

「概ね、そうだよ。」

「ガラン子爵家の当主が亡くなられた衝撃で、痴呆が進行した、そんな感じかしら。」
姉は、納得したようだ。

「先代国王陛下は、戦力外。実父の国王陛下は、子どもの教育にどれだけ関わっているか傍目でわからないほどの少なさ。
フィリップ殿下の件で立ち回れる上の立場の人間がいません、お父様。」
姉はきっぱりと言い切る。

「その通りのことをわたしも考えたんだけど、言い回しは考えなさい。端的でわかりやすいがね、身も蓋もないとは、きみの言葉を表す表現なんだろうね。」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

冷遇された第七皇子はいずれぎゃふんと言わせたい! 赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていました

taki210
ファンタジー
旧題:娼婦の子供と冷遇された第七皇子、赤ちゃんの頃から努力していたらいつの間にか世界最強の魔法使いになっていた件 『穢らわしい娼婦の子供』 『ロクに魔法も使えない出来損ない』 『皇帝になれない無能皇子』 皇帝ガレスと娼婦ソーニャの間に生まれた第七皇子ルクスは、魔力が少ないからという理由で無能皇子と呼ばれ冷遇されていた。 だが実はルクスの中身は転生者であり、自分と母親の身を守るために、ルクスは魔法を極めることに。 毎日人知れず死に物狂いの努力を続けた結果、ルクスの体内魔力量は拡張されていき、魔法の威力もどんどん向上していき…… 『なんだあの威力の魔法は…?』 『モンスターの群れをたった一人で壊滅させただと…?』 『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ…?』 『あいつを無能皇子と呼んだ奴はとんだ大間抜けだ…』 そして気がつけば周囲を畏怖させてしまうほどの魔法使いの逸材へと成長していたのだった。

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する

美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」 御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。 ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。 ✳︎不定期更新です。 21/12/17 1巻発売! 22/05/25 2巻発売! コミカライズ決定! 20/11/19 HOTランキング1位 ありがとうございます!

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

処理中です...