フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

110.問題が起きたとき、担当者で済む話と済まない話があるよね？

「兄がダルクに用件を伝えると、ダルクは、陞爵は、コーハ王家の決定か尋ねた。」

「兄は、王太子として、自分が決めたのだから、仕える王家の決定をガラン家は素直に受けることだ、と言った。」

ダルクは全く動揺していなかった。予想外の出来事の連続。パニックになってもおかしくないだろう？
父は、今でも当代当主を友人だと考えているのだ、とラウルは気付いた。
ダルクと言うときは、とても楽しそうに話している。

「そのとき、先代国王陛下が部屋へ飛び込んでこられた。」

「先代国王陛下は、ダルクに『陞爵が王家の決定でもなければ、国の方針でもない、と兄の言葉を否定し、迷惑をかけて、申し訳ない』と謝罪した。」

「兄は、先代国王陛下の言葉に反論しようとしたが、そのまま部屋から出されてしまった。」

「ダルクは、『誓約を違える覚悟を聞きに来た』と先代国王陛下に言った。
『誓約は違えません』と答える先代国王陛下は脂汗をかいていたよ。」

「『我々の隣人たり得ない者が隣にあるのは落ち着かないな。』とダルクが言うと、先代国王陛下は、『この度の不手際は大変申し訳ない。このまま安全に帰宅できるように調えてある。こちらは一切気にせず、お帰りください。』と頭を下げた。」

「ダルクは、去り際、わたしを見て、『少し元気か』と言うと、振り返らず王城を出た。」

「先代国王陛下の言動で、誓約書は真実かと分かったんだよ。」