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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?
97.ガラン子爵家当主の子ども達が王子殿下に無礼千万の問題児だと評判だよ。でも、切り口を変えると、問題の真相に近づいたりするよね?
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「『ガラン子爵家の子どもは問題児だから』、と荒れたときの対応を頼まれてほしいとは、聞いていたが。」
とジーン。
「先代、当代、嫡子デヒル殿、次男リドリグ殿、3男ハーマル殿。実際にあった話だな?」
ジーンが、職員に確認すると、その通りと返ってきた。
「その前の代は、あるか?」
とジーン。
職員は知らないと答える。
シドニー、ラウル、エスターも聞いていないと互いに確認する。
「ここで、疑問が生じる。問題児の言動はクローズアップされ、周知の事実になっている。
だが、その言動の前後についてはどうだ。
辛うじて、王太子殿下の側近候補が下りた、と一部で知られている程度だ。」
とラウル。
「加えて、ブリジール家とファウス家の2人の態度だ。旧家に対する王国の態度を懸念している、と態度で示していた。
あの2人の家は政治に関わらないのを信条にしている。
どちらも、家の方針を理解しない子どもを交流会に出す家ではない。
あの2人の態度は、家の意向だとみて差し支えない。」
とラウル。
「先代、当代で、王家とガラン子爵家との間に何か起きたか?」
ラウルが職員に問う。
「先代のときは、どなたか分かりませんが、当代は国王陛下と当たりました。」
と職員。
「陛下が、ガラン子爵家のご当主と懇意にされているとは聞かないな。一方で、王太子殿下は、ガラン子爵家の嫡子を気に入られているのを隠しておられない。」
とラウル。
「デヒル殿は王太子殿下と当たった。デヒル殿はどうだか聞かないが、王太子殿下は2人の間に友情が芽生えたと喜んでいらっしゃったようだ。下の2人は?」
「リドリグ殿とハーマル殿は、第2王子殿下と第3王子殿下です。」
と職員。
「順番に下りてきたんだな。」
とジーン。
「第2王子殿下と第3王子殿下は別々に?」
とラウル。
「はい。それぞれご予定が空いたタイミングで。」
と職員。
「その時の状況を説明出来るか?」
とジーン。
「第2王子殿下も第3王子殿下も、声をかけたのは、側近や側近候補の方々です。」
と職員。
「王太子殿下と状況は同じ。そのすぐ後に、王太子殿下の側近は交代している。」
とジーンは、頭の中に事実を組み立てていく。
「しかし、第2王子殿下と第3王子殿下の側近は交代していない。何が違ったか把握しているか?」
とジーン。
「王太子殿下はその場で、デヒル様を気に入ったと表明され、一連のやり取りについては娯楽であると宣言されました。
第2王子殿下、第3王子殿下のときは、両殿下が、その場で側近を諌めて、謝罪しました。
どちらのケースも、日を改めて、両殿下ご自身と側近全員でガラン子爵家に訪問されています。」
と職員。
「おそらく、そこで手打ちとしたか。」
とジーン。
「和解されたのでは?」
と職員。
「しているのか?」
とジーン。
職員は、とっさに返事が思い浮かばなかったようだ。
「ガラン子爵家の次男と3男が、王家の第2王子殿下や第3王子殿下と、交流した、という話を聞いたことがない。しているのか?」
とジーンは言葉を重ねた。
「交流会には、参加されていらっしゃいませんが。その個別で交流されているのでは?」
と職員が逆に確認してくる。
「知る限りない。没交渉だ。」
とジーン。
「この流れから結論を出すとしたら、手打ちの条件が、没交渉か。」
とラウル。
「となると、フィリップ殿下の落とし所をどこにするか、が今後の課題。」
とジーン。
「ノーマとシエル曰く、侮辱行為。貴族が侮辱されて黙っているわけにはいかない。ガラン子爵家の子息として、お返しをしたにすぎない。見方を変えると、問題児が変わるな。」
とラウル。
「私も、ガラン子爵家について詳しくありません。今後のために、私達がすることが決まりましたね。」
とエスター。
「旧家に対する国の考え方を整理したら、ノーマとシエルを呼ぶ。確認が済めば、ウィルソンとレオナルドに話す。この流れで、不都合はあるか?」
とジーン。
「ない。フィリップ殿下とウィルソン、レオナルドが、問題のありかを自覚されないと。
上のお三方と違い、今回、口火を切られたのは、フィリップ殿下ご自身だ。」
とラウル。
「今日の出来事を子どもが持ち帰ったら、騒ぐ家が出る。我々が動く前に、騒がれると面倒だ。我々も、ガラン子爵家にならい、早めに辞するとしよう。」
とジーン。
「早く動くに越したことはない。この場の会話は黙秘しろ。誰に聞かれても、内輪の話でわかることがない、と報告するとよい。そのように調整する。」
とラウル。
「かしこまりました。」
と職員。
「私どもは、これにて退席、退室します。」
とエスター。
「今日は、ご苦労だった。失礼する。」
とシドニー。
とジーン。
「先代、当代、嫡子デヒル殿、次男リドリグ殿、3男ハーマル殿。実際にあった話だな?」
ジーンが、職員に確認すると、その通りと返ってきた。
「その前の代は、あるか?」
とジーン。
職員は知らないと答える。
シドニー、ラウル、エスターも聞いていないと互いに確認する。
「ここで、疑問が生じる。問題児の言動はクローズアップされ、周知の事実になっている。
だが、その言動の前後についてはどうだ。
辛うじて、王太子殿下の側近候補が下りた、と一部で知られている程度だ。」
とラウル。
「加えて、ブリジール家とファウス家の2人の態度だ。旧家に対する王国の態度を懸念している、と態度で示していた。
あの2人の家は政治に関わらないのを信条にしている。
どちらも、家の方針を理解しない子どもを交流会に出す家ではない。
あの2人の態度は、家の意向だとみて差し支えない。」
とラウル。
「先代、当代で、王家とガラン子爵家との間に何か起きたか?」
ラウルが職員に問う。
「先代のときは、どなたか分かりませんが、当代は国王陛下と当たりました。」
と職員。
「陛下が、ガラン子爵家のご当主と懇意にされているとは聞かないな。一方で、王太子殿下は、ガラン子爵家の嫡子を気に入られているのを隠しておられない。」
とラウル。
「デヒル殿は王太子殿下と当たった。デヒル殿はどうだか聞かないが、王太子殿下は2人の間に友情が芽生えたと喜んでいらっしゃったようだ。下の2人は?」
「リドリグ殿とハーマル殿は、第2王子殿下と第3王子殿下です。」
と職員。
「順番に下りてきたんだな。」
とジーン。
「第2王子殿下と第3王子殿下は別々に?」
とラウル。
「はい。それぞれご予定が空いたタイミングで。」
と職員。
「その時の状況を説明出来るか?」
とジーン。
「第2王子殿下も第3王子殿下も、声をかけたのは、側近や側近候補の方々です。」
と職員。
「王太子殿下と状況は同じ。そのすぐ後に、王太子殿下の側近は交代している。」
とジーンは、頭の中に事実を組み立てていく。
「しかし、第2王子殿下と第3王子殿下の側近は交代していない。何が違ったか把握しているか?」
とジーン。
「王太子殿下はその場で、デヒル様を気に入ったと表明され、一連のやり取りについては娯楽であると宣言されました。
第2王子殿下、第3王子殿下のときは、両殿下が、その場で側近を諌めて、謝罪しました。
どちらのケースも、日を改めて、両殿下ご自身と側近全員でガラン子爵家に訪問されています。」
と職員。
「おそらく、そこで手打ちとしたか。」
とジーン。
「和解されたのでは?」
と職員。
「しているのか?」
とジーン。
職員は、とっさに返事が思い浮かばなかったようだ。
「ガラン子爵家の次男と3男が、王家の第2王子殿下や第3王子殿下と、交流した、という話を聞いたことがない。しているのか?」
とジーンは言葉を重ねた。
「交流会には、参加されていらっしゃいませんが。その個別で交流されているのでは?」
と職員が逆に確認してくる。
「知る限りない。没交渉だ。」
とジーン。
「この流れから結論を出すとしたら、手打ちの条件が、没交渉か。」
とラウル。
「となると、フィリップ殿下の落とし所をどこにするか、が今後の課題。」
とジーン。
「ノーマとシエル曰く、侮辱行為。貴族が侮辱されて黙っているわけにはいかない。ガラン子爵家の子息として、お返しをしたにすぎない。見方を変えると、問題児が変わるな。」
とラウル。
「私も、ガラン子爵家について詳しくありません。今後のために、私達がすることが決まりましたね。」
とエスター。
「旧家に対する国の考え方を整理したら、ノーマとシエルを呼ぶ。確認が済めば、ウィルソンとレオナルドに話す。この流れで、不都合はあるか?」
とジーン。
「ない。フィリップ殿下とウィルソン、レオナルドが、問題のありかを自覚されないと。
上のお三方と違い、今回、口火を切られたのは、フィリップ殿下ご自身だ。」
とラウル。
「今日の出来事を子どもが持ち帰ったら、騒ぐ家が出る。我々が動く前に、騒がれると面倒だ。我々も、ガラン子爵家にならい、早めに辞するとしよう。」
とジーン。
「早く動くに越したことはない。この場の会話は黙秘しろ。誰に聞かれても、内輪の話でわかることがない、と報告するとよい。そのように調整する。」
とラウル。
「かしこまりました。」
と職員。
「私どもは、これにて退席、退室します。」
とエスター。
「今日は、ご苦労だった。失礼する。」
とシドニー。
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