フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

95.ノーマとシエル。フィリスの新しいお友達は、とても頼りになる。

ノーマとシエルは深く息を吐いた。

「そもそも、あの場合、フィリス様に一切非はないのです。」

「旧家の方々に、いきなり頭を下げろとか、讃えよ、とか強制すること自体がもう。」

「何かな？」
とエスター。

「イカれています。」
とシエル。

「お門違いも甚だしい。」
とノーマ。

遠慮がなくなって、話しやすいとエスターは微笑んだ。

「自分の国の王子殿下でも？」
とエスター。

「王子殿下だから、ですね。」

「王女なら？」

「いいえ。王子殿下でも王女殿下でも。理由は、上に別の尊き方がいらっしゃるからです。
どなたかの下にいる方に頭を下げたりされることはありません。
例外が王太子殿下などの次の頂きに上られる方。頭をさげることはなくても、ぎりぎり相手してくださります。」
とノーマ。
　

「お聞きになっている理由ですが、1つだけ。フィリス様が対応する相手ではないから。王子殿下では最初から身分が足りませんでした。」
とシエル。

「ご存知なかったとはいえ、フィリス様にあのような言動。今後の改善を要求します。」
とノーマ。

「2人も、考え方は、旧家よりなのかな？」
とエスター。

ノーマとシエルは顔を見合わせた。
「コーハ王国の現王家をはじめとする若年層に増えてきた傾向ですが、旧家の方々を舐めすぎです。」

「旧家が、なぜ旧家として在るのか、をよくよく学ばれると良いでしょう。」

ノーマとシエルの口が固く閉じられた。

フィリスが声をあげる。フィリスは待ちくたびれていた。
「友との語らいは？」

「お待たせしまして申し訳ありません。」
とノーマ。
「これからですよ。ご安心を。私はシエル・ファウスです。」

「私はノーマ・ブリジールです。」

「ボクは、フィリス・ガラン。鼎談を。」