フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

90.フィリスの父ダルクも交流会で、王子と側近相手に伝説を作っていたよ。

フィリスの父ダルクも、ガラン子爵家当主の子どもエピソードがある。

ダルクは姉が1人、妹が2人。

姉と妹は、国外での政略結婚が見込まれていたので、交流会には出ないと決めている。

「頭を下げろ。」
と言われたダルクが最初に発した言葉は、
「何のために。」
である。

自国の王族だとわかってないのか？とざわつく空間。

「王子に敬意を示すが良い。」
と言われると、
「誰のために？」
と聞き返した。

「無礼な！」
と怒鳴った相手に
「そなたらが礼を尽くしておけば、体裁は整う。問題にはなるまい。気に病まずともよい。」
と慰めを口にした。

伝説を作る気はないのだ。

自然体なだけで。

報告を受けた先代ガラン子爵家当主は、
「うちと王家は初代からの付き合いだから。
うちの初代は言葉で殴って、王家はそれを良しとしていたから、王族特有の体質ではないかな？」
と笑っていたらしい。


その話を父から聞いたハーマルは、次の日、
直属の上司は王太子の側近だけど、殴って欲しいと王太子に言われたりするんだろうか、と考えてみた。

職場について挨拶を交わした後、
「何か、わたしのことで気にかかることでもあったか？」
と上司にそっと囁かれて、考えるのはやめようと思った。

デヒルに殴られるのを心待ちにしている王太子の側近が、にこやかにハーマルを見ている。

王太子に直接、兄の話をされたわけじゃない。

今日は、忘れよう。