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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

88.ガラン子爵家の兄弟は基本的に不遜。頭を垂れろ、なんて命令されたら、どうなる?

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ガラン子爵家の人間は、代々、不遜である。

今は亡き先代当主も、フィリスの父の当代当主も、その嫡子デヒルから続く、次男リドリグ、3男ハーマルも、交流会で頭を下げなかった。


交流会には、未成年王族も参加する。

王族がきたら、頭を下げて待つのが貴族の様式美。

やらないで、好き勝手やっているのは誰だ?

毎回、ガラン子爵家当主の子どもである。


王子や王女には、側近になり得る高位貴族の子どもが控えている。

側近候補や側近に決まった高位貴族の子どもは、無礼をさっと見咎める。

王子や王女と側近もしくは側近候補は、ガラン子爵家当主の子どもの前に行く。

大勢の前で、無礼者に絶対的優位を突きつけてやるために。


ガラン子爵家当主の子どもは、目の前に人が立ったら、萎縮しそうな見た目である。

同年代より、小柄で細身。派手さに乏しい見た目。


初対面時は、どうしてか。
相手に
『田舎から出てきたばかりで、都会のルールがわからないのだな、教えてやろう』
という気持ちにさせるらしい。

教えてやろうという気持ちは、暴走すると、失敗することがよくある。


『不敬だ。この方を誰だと心得る。頭が高い。頭を低くして待て。』

王子や王女の側近や側近候補になったやる気をガラン子爵家当主の子どもに向けてはいけない。
絶対に。


『頭を下げるような相手に会ってみたいなー。』
と爆笑した3男ハーマル。

『頭を下げている置物が欲しいなら、鉛で作らせた人形の前に、気が済むまで立っていればいいんじゃないかな?』
と冷笑を浮かべた次男リドリグ。

『殿下は、下がっている頭を見たいと。
簡単だ。

殿下が、隣の男にこう命じるといい。

殿下の部屋から見える木に上り、紐を輪にして木にかけたなら、首を入れて、飛び降りよ、と。

交流会が終わるまで待つこともない。

吊り下がっている間は、ひたすら頭を垂れてくれる。

腐り落ちた頃には、次の者に同じ様に命じれば、側に望む者がいる間は、続けられる。

殿下は、王子の身分をお持ちだ。

殿下の隣に空いた席。
座りたがる者がいる間は、心配しなくてもよいだろうな。

垂れる頭が尽きるのが先か、己の頭が垂れるのが先か。』
と話して、ハハハと笑ったのは、嫡子で長男デヒル。

デヒルの話した相手は、殿下は殿下でも、現王太子殿下である。

王太子殿下は、この日をきっかけに、デヒルと心を通じあわせたいと願い、なんやかんやあって、2人は互いに無礼講で話をする仲になった。

その日、王太子の横にいて、デヒルを咎めた高位貴族子弟は、側近候補を辞した。

『あんなヤバいやつも、ヤバいやつを好ましく思う殿下も、私とは違いすぎて怖すぎた。』
だそうだ。
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