フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

84.フィリスの父ダルクが、成人後、領地から出ない予定のフィリスに友達作りをさせたわけ。

フィリス7歳。

フィリスの父は、王都で気の合う友達が出来たら、友達付き合いをしてみるのも悪くないだろうとフィリスを王都邸に時々滞在させることにした。


サブリーとユージュアルとは、上下関係込みでの友達付き合いである。


フィリスが自分自身で、貴族階級から気に入った友達を作り、領地暮らしでも、関係を続けられたなら、更に人生を楽しめる。

領民とは仲良くやれても、友達には一生ならない。

次代以後の統治ため、領主の子どもは親しまれても、馴れ合うことはならんのである。


嫡子であるフィリスの兄デヒルには妻子がいる。
弟を可愛がっているが、為政者として、愛情と庇護のみを与えてはくれるわけではない。

デヒルは、次期当主として、己と我が子の統治のための決断を迷いなく下せる。
相手が弟であっても、遺憾なく発揮する。
そう育てた。

家族は大事だが、情に縋ると失敗する。

現当主であり、父であるから、デヒルの生き方を理解し、評価している。

デヒルは、そのままでよい。

そうあるべく育ち、次代としての在り方を確立した。

問題が分かれば、対策。

フィリスが幸せに人生の終焉を迎えられるように、子どもの環境を整えるのも父ダルクの役目。


フィリスが自分自身で掴み取った友人が1人でもいれば、心を強く持てるだろう。

父は、年齢的に先に逝く。
家族と領地と領民を愛して生きる4男を将来遺して逝くのが心配でたまらない。
一緒に逝くかと聞くと、お父様となら、と答えるフィリスなのだ。

父の庇護がなくなった後を考えると、フィリスだけが支えに出来るものは1つでもあった方がよい。

そんな、フィリスの父の親心から、フィリスの友達作りは始まった。