フィリス・ガランの近衛生活

第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった？

81.内偵計画の計画書に、泣いていい？ボツ前提で、臨機応変に対応する、で良くない？

売春宿内偵計画書を前に、フィリスとサブリーとユージュアルが泣いている。

「もう何も書き出したくない。」
とフィリス。

「頭の中にないものは、ひねり出せないんだぞ。」
とユージュアル。

「もうさ、これで、いいじゃん。まだ直しがいる？現場判断にしようぜ。」
とサブリー。

3人は、書き直している計画書が何度もボツをくらいすぎて、力尽きていた。

ボツの判断をする方も疲れている。

「子育てって大変なんだな。産んでないけど。」
とリッチェル。

「フィリス達は、産む苦しみを現在体験出来ているから、終わったら、聞いてみるとしよう。」
とセドリック。

「ボツになる計画書を生み出す才能は、相当なものだよ。」
と、アラン。


「フィリスが関わる場合で、ご当主と嫡子のデヒル殿の手配がない日が来るとは。」
ラウルはしみじみしている。

「王城関係をハーマル殿がされるようになってから、穏やかだな。」
とアンドリュー。

「デヒル殿は、伝説作ったから。ひれ伏している人がチラホラいたよね。」
とリッチェル。

ジーンは、挫けた3人組の監督に忙しい。

フィリスの教育は、ジーンとシドニー、ラウルとエスターの4人がかりで、4年近くかけたら、見られるくらいになった。

ユージュアルも、サブリーも単体では、大して騒ぎになることはしない。

フィリス、サブリー、ユージュアルの3人が仲良くやる気を発揮すると、教育成果がどこかにいってしまう。
最初は毎回、躾からやり直す。

単体では、賢いのに、残念なことだ。

ジーンは、頭の中まで可愛い3人の後輩をとても可愛がっている。

計画書の作成に付き合ってやるくらいに。

この3人は、
ジーンが『近衛に隠の王あり』と囁かれていることに自力で気付くことはないだろう。
たとえ気付いても、可愛い頭で慕ってくるので、ジーンにとっては問題ない。

シドニーに現実を教えてもらった3人が、
『賢くなったけど、知りたくなかった。』
と悲しんでいる風景があまりに微笑ましいので、躾が甘くならないようにしなくては。