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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?
67.親切な顔で、獲物に近づいてくる狩人は、獲物を捕まえても、親切な仮面をとらない。
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男は歩きながら、ダーニャンの斡旋先をかんがえている。
「彼女さんはなー。喜怒哀楽が難しいから、普通の店じゃダメだよなー。どこに紹介しよう?やっぱり、特殊プレイ専門店かな。」
「田舎者カップルの破局率、高いよなー。まあ、おれのせいだけど。カップルだと、男も女も両方、売れるから、1度で2度美味しいぜ。」
「あの不動産屋ではると、まず間違いなく釣れる。あそこは、カップルほいほい兼カップルクラッシャーだな。」
男は、ダーニャンが住んでいる部屋に入った。
「ダーニャン、金を増やして、ちやほやしてもらえる場所を知っているんだが、興味あるか?
お前なら、人気者になると思うんだよなー。
王都民のおれが言うんだから、間違いないね。」
「ワタシ、人気者になれる?」
「磨かれた女を見て反応しないのは、男じゃない。」
「ポロンは、キレイになったワタシを見ても、何も言ってくれない。一生懸命お手入れしたのに、ワタシじゃなくて、お金の話ばかり。」
「ほら、むしゃくしゃしているんだろ?ちやほやされに行ったらどうだ?」
「行ってくる。ポロンは褒めてくれないけれど、お店にいる男の人は、すごく褒めてくれるわよね?」
「男は皆、女を称えたい生き物なんだ。」
金を落としてくれる分だけ、と男は腹の中で付け足した。
「一緒に来て。」
「一緒には行けねえ。女の子は大歓迎で、ちやほやしてくれるけど、男は入れてもらえないんだ。おれは女じゃないからな。」
男に貢がないから、おれには水も出てこねー。
店で男に囲まれて、飲むより、斡旋出来るヤツを見つけ出す方が、建設的な気がする。
ノルマあるからな。
「そうなんだ。」
ダーニャンは緩慢に頷いた。
「深く考えず、王都を楽しんでこい。場所はわかるから、連れて行ってやるよ。」
「たくさん褒められたいから、持っていきたいのがあるけど、いい?」
「荷物?好きにしたらいいぜ。」
どうせ、借金で買ったものは1つも手元におけない。
後で回収して、再利用だからなー。
今のうち、いい気分を味わっておけよ。
ダーニャンが店に入ったのを見届けて、男はやれやれと背伸びした。
「ノルマ達成。やっと解放される。」
男の独り言に、くすくすと笑う声がした。
「解放されたいの?天職なのに。」
いつの間にか、男の姿が蜃気楼のように揺らいでいる。
「マジで勘弁してくれ。やる気のある女の子を紹介するのは、こっちも燃えるけどな。」
「ダーニャンは、人気出るわよ。調教好きが、甚振って、甚振り倒して、ボロボロになったところを、さらに甚振るコースね。」
「超ハード。ポロンには無理だな。」
「常識っぽい何かはあるけど、頭の良くないひ弱な男。お店に慣れたら、頭角表すわよ。慣れるまでグズグズするわね。」
「そうか、お眼鏡に適ったようで何より。」
「仕事っぷりにはいつも満足してるわよ?」
男は、腹に力をこめた。
「それで、もう自由の身になれるんだよな?」
「ええ。あなたのお願いだもの。お別れなんてとても残念。」
「そんなに気に入っていただけていたとは恐縮です。」
「まあ、ご丁寧に。でも、行くんでしょ?」
「ああ。世話になった。」
「本当に行くの?もう会うこともないわね。」
「そうなのか、呼び出されることもあるか、と身構えていた。」
「また会う気があるの?」
「いや。これっきりにしてくれ。」
「つれないわね。じゃ、さようなら。」
男からの返事はなかった。
男の体には大きな穴が開いている。
「せっかく、いい拾いものだと思ったのに、お仕事やめて、自由になりたいなんて。」
女は、勿体なかったわー、と嘆く。
「よく働く異世界人、また落ちてこないかしら?」
「彼女さんはなー。喜怒哀楽が難しいから、普通の店じゃダメだよなー。どこに紹介しよう?やっぱり、特殊プレイ専門店かな。」
「田舎者カップルの破局率、高いよなー。まあ、おれのせいだけど。カップルだと、男も女も両方、売れるから、1度で2度美味しいぜ。」
「あの不動産屋ではると、まず間違いなく釣れる。あそこは、カップルほいほい兼カップルクラッシャーだな。」
男は、ダーニャンが住んでいる部屋に入った。
「ダーニャン、金を増やして、ちやほやしてもらえる場所を知っているんだが、興味あるか?
お前なら、人気者になると思うんだよなー。
王都民のおれが言うんだから、間違いないね。」
「ワタシ、人気者になれる?」
「磨かれた女を見て反応しないのは、男じゃない。」
「ポロンは、キレイになったワタシを見ても、何も言ってくれない。一生懸命お手入れしたのに、ワタシじゃなくて、お金の話ばかり。」
「ほら、むしゃくしゃしているんだろ?ちやほやされに行ったらどうだ?」
「行ってくる。ポロンは褒めてくれないけれど、お店にいる男の人は、すごく褒めてくれるわよね?」
「男は皆、女を称えたい生き物なんだ。」
金を落としてくれる分だけ、と男は腹の中で付け足した。
「一緒に来て。」
「一緒には行けねえ。女の子は大歓迎で、ちやほやしてくれるけど、男は入れてもらえないんだ。おれは女じゃないからな。」
男に貢がないから、おれには水も出てこねー。
店で男に囲まれて、飲むより、斡旋出来るヤツを見つけ出す方が、建設的な気がする。
ノルマあるからな。
「そうなんだ。」
ダーニャンは緩慢に頷いた。
「深く考えず、王都を楽しんでこい。場所はわかるから、連れて行ってやるよ。」
「たくさん褒められたいから、持っていきたいのがあるけど、いい?」
「荷物?好きにしたらいいぜ。」
どうせ、借金で買ったものは1つも手元におけない。
後で回収して、再利用だからなー。
今のうち、いい気分を味わっておけよ。
ダーニャンが店に入ったのを見届けて、男はやれやれと背伸びした。
「ノルマ達成。やっと解放される。」
男の独り言に、くすくすと笑う声がした。
「解放されたいの?天職なのに。」
いつの間にか、男の姿が蜃気楼のように揺らいでいる。
「マジで勘弁してくれ。やる気のある女の子を紹介するのは、こっちも燃えるけどな。」
「ダーニャンは、人気出るわよ。調教好きが、甚振って、甚振り倒して、ボロボロになったところを、さらに甚振るコースね。」
「超ハード。ポロンには無理だな。」
「常識っぽい何かはあるけど、頭の良くないひ弱な男。お店に慣れたら、頭角表すわよ。慣れるまでグズグズするわね。」
「そうか、お眼鏡に適ったようで何より。」
「仕事っぷりにはいつも満足してるわよ?」
男は、腹に力をこめた。
「それで、もう自由の身になれるんだよな?」
「ええ。あなたのお願いだもの。お別れなんてとても残念。」
「そんなに気に入っていただけていたとは恐縮です。」
「まあ、ご丁寧に。でも、行くんでしょ?」
「ああ。世話になった。」
「本当に行くの?もう会うこともないわね。」
「そうなのか、呼び出されることもあるか、と身構えていた。」
「また会う気があるの?」
「いや。これっきりにしてくれ。」
「つれないわね。じゃ、さようなら。」
男からの返事はなかった。
男の体には大きな穴が開いている。
「せっかく、いい拾いものだと思ったのに、お仕事やめて、自由になりたいなんて。」
女は、勿体なかったわー、と嘆く。
「よく働く異世界人、また落ちてこないかしら?」
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