フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

62.好きだと気づいたら、良いところしか思いつかない。これって、恋だよね?

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ダンシェルは、知識として知ってはいたものの、同性同士の性交に関心なく生きてきた。


あの日、
フィリスの覚悟と行動力に圧倒された。
毅然と交渉する姿は、凛々しく頼もしかった。

同時に
艶めかしく動くフィリスの姿が、瞼から離れない。



外交先の事件が解決の目処が立った後も、フィリス達はまだ静養が必要だった。

指導係が指導を続けられない状況を鑑み、フィリスは指導係を外れることになった。

ダンシェル達3人は、続く3年間、色んな人の下について経験を積んだ。

外交にも堂々と近衛として同行した。

外国の近衛の様子を知る機会も増えた。


思うことは、1つ。

最悪の状況で新人3人組を守りきって、全員で生還を果たし、国への報告も迅速に行って、国益を損なわなかったのは、偉業としか呼べないということだった。

19歳のフィリス、18歳のサブリー、17歳のユージュアル。
全員が、貴族学校で近衛養成コースを修了していない。
サブリーとユージュアルの通った外国の学校は、近衛や騎士とは程遠い教育方針だったと聞く。

15歳で入団してから、4年近い近衛の研修期間を終えたという19歳のフィリスに至っては、学校に通っていない上、家を守り、当主と嫡子に仕え、領地で問題なく暮らすための教育しかしていなかったと聞いた。

ふわふわほわほわと緊張感のないフィリス。
フィリスと楽しく遊び暮らすことを至上命題にしているサブリーとユージュアル。

普段は、気の抜ける会話と、お気楽な行動しかしない。

どうして、あんな命の危機に瀕していた場面で、冷静に対応できたんだろう?

ダンシェルは自身を振り返ることが増えた。

フィリスの痴態を間近に見た後、他からの誘いに心が動かされなくなったのだ。

もう、決定的だ。


好きになった、フィリスのこと。

ダンシェルは小さく笑う。

毎日、構い倒す勢いで近づいてくるけど、困るまでは手を出さないで隠れているフィリス。

方向性を示唆してもらったり、助言してもらったりしながら、気づいたら、色々やっていた。


好きだと気づいたら、良いところしか思いつかない。

ああ、恋だ。

この恋は、本気のやつだ。

オレの誰にも譲りたくない気持ちだ。
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