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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?
55.苦境に陥っても諦めない先輩達がいたから、今も近衛を続けられている。だから、あなた方には誠実でありたい。
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ダンシェル達は、コーハ王国に帰還してから、フィリス、サブリー、ユージュアルの見舞いに行った。
素直になった新人3人は、助けてくれた感謝と勝手に出歩いて迷惑をかけた詫びを伝えた。
「どうして一緒に来てくれて、ずっと離さないでいてくれた?」
6人が生きて帰れたのは、結果的にそうなったのであって、途中、諦めてもおかしくない場面は何回もあった。
新人3人とも、指導係が発表された日から、先輩達ををナメていることを隠していなかった。
あの日。あの事件が起きた日。
フィリスとサブリーとユージュアルの3人は、最後まで諦めずに、新人3人を守る姿勢を貫いた。
帰還して、コーハ王国の土を踏んだ途端、サブリーもユージュアルも崩れるように倒れた。
意識はあるが、動けない2人は抱えて運び込まれた。
「もう一歩も動けない。」
「俺もー。」
「「お願い、優しく運んで。」」
無理をしたフィリスを支える2人も無理を重ねて、限界がきていたのだろう。
3人が真面目に聞く姿勢を見せたので、
サブリーもユージュアルもベッドの中から、
「これも後輩指導だぞ。」
「生きた後輩指導。」
「生きていて良かった指導。」
と笑っていた。
『安全に退避できるならそうしたんだけどなー。』
とサブリー。
『あんなガタイのいい体で包囲網作られていたら、抜け出すなんて、出来んわー。』
とユージュアル。
『逃げる1択の場合もあるし、戦わなきゃならない場合もある。
状況によりけり。
その時にとれる中で1番の手を使うために、常日頃から、色んな方面に関心を持つのは、役に立つぜ。』
『なー。あの包囲網見たらなー。抜けるは、1番に捨てるよな。』
ベッドの中で、2人はけらけら笑った。
『抵抗しなかったから無傷でその場所まで歩けていたが、1人でも抵抗していたら、難しかっただろう』
とサブリーが当時の見立てを話してくれた。
『拷問に必要な頭数だけ揃えたら、残りは下げ渡すか犯罪者集団に売り払うかして、闇市に流されて、陽の目を見れなかったと思う。』
とユージュアルは分析していた。
『人気のない方へ歩かされていたの、気づいていなかっただろう?』
とサブリーは言った。
『もっと早く追いかけていきたかったけど、進路に色々あってさ。いつもなら、軽々だったけど。』
いつも?
ダンシェル達が逃げて、フィリスとサブリー、ユージュアルが追いかけてきたことか、と思い至る。
自分の過去の行動を振り返り、3人は初めて恥ずかしく思った。
『俺達に、進路にいる人を千切っては投げっ、て無理だ。仕方ない。』
飄々と笑いに変えるサブリーとユージュアル。
今回の発端になったのは、ダンシェル達の近衛としての職業意識の低さ。
自身の見た目を取り沙汰され、イライラした。
イライラしていても、訪問先でイライラを表に出しては行けなかったのだ。
仕事中に、イライラを解消しようとしたのが、弱味になり、つけこまれた。
フィリス、サブリー、ユージュアルは、責任を問われるような失態をしていない。
それなのに、ナメてかかる可愛げない後輩達のために、体をはってくれた。
2人の話から、フィリスとサブリーとユージュアルが、新人のダンシェル達の置かれた状況を3人より正確に把握していたから、乗り切れたのだと分かる。
ダンシェル達だけで対応していたら。
闇雲に抵抗して痛めつけられた挙げ句、コーハ王国に戻れなかったかもしれない。
2人の話を繋ぎ合わせると、拷問に必要なのは、フィリスで、次点でサブリーとユージュアル。
ダンシェル達は、低位貴族子弟だ。血統書付きな上に、美しい見た目も相まって、好事家に飼われるか、闇市に流される運命だっただろう。
フィリスが声を上げて、サブリーとユージュアルが力を合わせてくれたから、今も貴族子弟として生きて近衛を続けられている。
だから、
ダンシェルもロウウェルもレイモンドも、
近衛というより姫感全開のフィリスと、自由人の野生児2人には、
生涯、誠実でありたいと思っている。
素直になった新人3人は、助けてくれた感謝と勝手に出歩いて迷惑をかけた詫びを伝えた。
「どうして一緒に来てくれて、ずっと離さないでいてくれた?」
6人が生きて帰れたのは、結果的にそうなったのであって、途中、諦めてもおかしくない場面は何回もあった。
新人3人とも、指導係が発表された日から、先輩達ををナメていることを隠していなかった。
あの日。あの事件が起きた日。
フィリスとサブリーとユージュアルの3人は、最後まで諦めずに、新人3人を守る姿勢を貫いた。
帰還して、コーハ王国の土を踏んだ途端、サブリーもユージュアルも崩れるように倒れた。
意識はあるが、動けない2人は抱えて運び込まれた。
「もう一歩も動けない。」
「俺もー。」
「「お願い、優しく運んで。」」
無理をしたフィリスを支える2人も無理を重ねて、限界がきていたのだろう。
3人が真面目に聞く姿勢を見せたので、
サブリーもユージュアルもベッドの中から、
「これも後輩指導だぞ。」
「生きた後輩指導。」
「生きていて良かった指導。」
と笑っていた。
『安全に退避できるならそうしたんだけどなー。』
とサブリー。
『あんなガタイのいい体で包囲網作られていたら、抜け出すなんて、出来んわー。』
とユージュアル。
『逃げる1択の場合もあるし、戦わなきゃならない場合もある。
状況によりけり。
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『なー。あの包囲網見たらなー。抜けるは、1番に捨てるよな。』
ベッドの中で、2人はけらけら笑った。
『抵抗しなかったから無傷でその場所まで歩けていたが、1人でも抵抗していたら、難しかっただろう』
とサブリーが当時の見立てを話してくれた。
『拷問に必要な頭数だけ揃えたら、残りは下げ渡すか犯罪者集団に売り払うかして、闇市に流されて、陽の目を見れなかったと思う。』
とユージュアルは分析していた。
『人気のない方へ歩かされていたの、気づいていなかっただろう?』
とサブリーは言った。
『もっと早く追いかけていきたかったけど、進路に色々あってさ。いつもなら、軽々だったけど。』
いつも?
ダンシェル達が逃げて、フィリスとサブリー、ユージュアルが追いかけてきたことか、と思い至る。
自分の過去の行動を振り返り、3人は初めて恥ずかしく思った。
『俺達に、進路にいる人を千切っては投げっ、て無理だ。仕方ない。』
飄々と笑いに変えるサブリーとユージュアル。
今回の発端になったのは、ダンシェル達の近衛としての職業意識の低さ。
自身の見た目を取り沙汰され、イライラした。
イライラしていても、訪問先でイライラを表に出しては行けなかったのだ。
仕事中に、イライラを解消しようとしたのが、弱味になり、つけこまれた。
フィリス、サブリー、ユージュアルは、責任を問われるような失態をしていない。
それなのに、ナメてかかる可愛げない後輩達のために、体をはってくれた。
2人の話から、フィリスとサブリーとユージュアルが、新人のダンシェル達の置かれた状況を3人より正確に把握していたから、乗り切れたのだと分かる。
ダンシェル達だけで対応していたら。
闇雲に抵抗して痛めつけられた挙げ句、コーハ王国に戻れなかったかもしれない。
2人の話を繋ぎ合わせると、拷問に必要なのは、フィリスで、次点でサブリーとユージュアル。
ダンシェル達は、低位貴族子弟だ。血統書付きな上に、美しい見た目も相まって、好事家に飼われるか、闇市に流される運命だっただろう。
フィリスが声を上げて、サブリーとユージュアルが力を合わせてくれたから、今も貴族子弟として生きて近衛を続けられている。
だから、
ダンシェルもロウウェルもレイモンドも、
近衛というより姫感全開のフィリスと、自由人の野生児2人には、
生涯、誠実でありたいと思っている。
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