フィリス・ガランの近衛生活

かざみはら まなか

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第4章 異世界転生した少年少女がガラン領を永久追放されて王都に移送後、何があった?

38.罪を犯して追放処分を受けた者が、追放した側に、新しい住まいのための家賃を払えとのたまっているよ?

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「そうよ、今までガラン子爵家が負担していたんだったら、王都でもそうするべき。私達は、来たくて来たわけじゃないんだから。お詫びに家賃くらい面倒みなさいよ。」
マーツがサカモに賛同する。

「お前達はガラン領を永久追放されて、ここにいる。ガラン子爵家とガランの名前は、お前達が口にして良いものではない。」
説明者が、感情を動かさないのは、理不尽極まりない主張に慣れているのだろうか?

「おれらには、最低限の暮らしを保障される権利があるんだ。今こそ、権利を行使する。」
最年少のクーノが元気よく拳を振り上げた。

「入居条件に同意する者のみ、市役所での説明後、こちらへ戻る。

住まいをどこに決めるかは、お前達自身の判断だ。入居にあたり、家賃に相当する金銭を持っていない者は、役所を通じて、国から金を借りて、支払うように。」
クーノを相手にせず、説明者は続ける。

「これから名前を読み上げる5名は、自分の名前が呼ばれたらすぐ挙手せよ。他人の名前には動くな。」

説明者は、全員を見渡した後、ゆっくり名前を呼んでいった。

「ウルミ。ナズ。バルーム。ポロン。マーツ。」

説明者は、この5人で間違いないな、と互いに確認させた。

前に立っていた2人のうち、今まで、話をしていなかった方が、5人を連れて離れようとすると、サカモが噛み付いた。

「おい、ソイツら連れてどこへ行く?おれも連れて行け。ソイツらに何をするつもりだ。ソイツらは、おれと一緒じゃなければ、どこにも行かない。」

「他人に口を挟ませるのが良いか、本人達に聞いてみるとしよう。」
もう1人の男は、5人に向き直った。

「今から、この5人だけに良い話がある。他の者にはない。
良い話というのは、5人それぞれの人生や環境のお陰。1人1人、理由があって、良い話がきた。

名前を呼ばれなかった者達に良い話がなかったのは、これまでの人生の総決算。

5人にとっての良い話が、他人にとっての良い話になるかは、不明。

さて、良い話の中身を5人だけで聞くか、ここにいる全員で聞くか、どちらを選ぶ?

どちらを選んでも、ついてくる結果の責任は自分でとることだ。」

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