フィリス・ガランの近衛生活

第3章 世の中には、異世界転移する男子高校生もいれば、異世界転生する人もいる

28.異世界のお役所で学ぶ、異世界の現地人事情。その1、借家の家賃の支払いについて。

ドキドキ、ワクワクしながら、役所の中を案内してもらう。
1階は総合受付。
2階以上は、目的別に部屋を分けていた。
どこも掃除が行き届いている。部屋ごとに特徴を出していて、分かりやすい。
市役所に入ったら、全員、総合受付で来訪目的を登録してから、目的別に分かれている部屋へ移動する。
密告用の部屋は、警備が厳重だった。
密告した後に脅されたので、撤回する、と言い出すことがないように、だそうだ。


案内の最後は、椅子も何もない大ホール。

「これから、国民の義務を果たさなかった者の処分を行います。私語はお慎みの上、ご見学ください。」

案内の人に短く返事をして大人しく待つ。



役所の人が話し始めた。
「この場にいるのは、兵役を除いた今月の義務を果たさなかった者。」
1部ブーイングしている集団がいる。
タマキと年が近そうな男女だ。

「期日に税金を納付しなかった者。労役の提供を怠った者。借家の家賃が未払いの者。」

借家の家賃の未払いとは、貸し主が国に物件を登録し、代行手数料を毎月支払うと、借り手が踏み倒そうとしたとき、国が家賃と家賃回収にかかった実費と代行手数料を強制徴収し、貸し主へ家賃が届けられる仕組みを利用したケースで、家賃の回収が出来なかった者のことだ。

今後、
延滞料金と延滞により発生した損失の補填額を上乗せして納めれば、税金の未納者は帰宅できる。

延滞が続くと、延滞料金と損失補填額が税金と共に積み上がっていく。

家賃の滞納や未納が発生すると、貸し主との賃貸契約は終了する。

未納分や滞納分などの支払いが済むと、貸し主が了承した場合に限り、新たに賃貸契約を締結出来る。