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第2章 フィリス、16歳の男子高校生を自分の家に連れてかえる

19.ガラン子爵家の使用人たちからの報告

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フィリスと一緒にハンティア王国にお出かけしたガラン子爵家の執事は4人。
2人はフィリス付き。
残る2人は、当主付きと嫡子である長兄付きである。

「報告いたします。」
ガラン子爵家当主は、ゆったりとお茶を飲んでいる。

フィリス付きの1人が最初に報告する。
「異世界人タマキは16歳の男性。労働経験がなく、突出した特技もありません。若く素直な性格を鑑みて、成長性を期待するとフィリス様は個人宅に入れました。既にフィリス様の人的財産の手続きは済んでいます。タマキの教育は、フィリス様の個人宅のハルミットが責任者になりました。優秀な使用人にするようにお命じになっています。」

続けて、フィリス付きの2人目。
「うさぎ団は、団長のゴウを中心にまとまり、フィリス様の満足のいく仕事をしています。」

3人目は、当主付き。
「フィリス様は変わらず、ゴウを気に入っていますが、ゴウの自制が効いており、問題なく終わりました。」

4人目は、長兄デヒル付き。
「近衛棟には立ち入りできません。
ハーマル様ご在籍の外交部について。ハーマル様がフィリス様の手続き全般を手早く終わらせて、何の問題も起きておりません。フィリス様は、近衛と、関係者に報告に行かれるということで、我々は戻りました。」

「ハーマルは、何か気付けば連絡がくる。何かあれば、気付かない人間ではない。心配することはない。」
フィリスの父はのんびりと言う。

「異世界人タマキがいることで、どのような影響が出るか?」

「タマキは、毒にも薬にもなりませんので、長生きしそうです。元の世界に未練を残していなさそうです。元の世界の思い出や郷愁は、1度も口に出しませんでした。」

「警戒心が強めですが、警戒の仕方がおかしいので、うさぎ団からは敬遠されていました。会話が成り立たないのは、夢と現実の区別がつかなくて、妄想に生きているからではないかと受け取られていました。」
以上、フィリス付きの2人の報告。

「礼儀作法や常識は空っぽですので、一つずつ学習する時間がいります。王侯貴族と小金持ちを同じに考えている様子が頻繁に見受けられました。脊髄反射で不敬を発動します。面会は、フィリス様からお声が上がるまでお控えてください。」
と当主付きの発言。

「陽気に振る舞っていました。闇にのまれてはいませんでしたが、浅くない闇を飼っていますね。今後、きっかけがあれば噴出する可能性があります。」
とは、長兄付きの発言。

「きっかけは、元の世界での何かの可能性が高いね。報告は随時、こちらへも入れるように伝えなさい。」
「かしこまりました。」
当主は、よろしいと頷くと、4人を労い、休むように言った。
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