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第2章 フィリス、16歳の男子高校生を自分の家に連れてかえる

16.フィリスのお家にいらっしゃいませ

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フィリスの人的財産として、フィリスの管理下に入ったタマキは、フィリスのお家に預けられた。

タマキの目の前にお屋敷が建っている。
「ここ、ボクのお家。今日からタマキの住むところ。ここで、先輩に習って、優秀な1人前の使用人に育つんだよ。」
フィリスは、入るよー、紹介するよーとタマキの手を繋いで歩き出した。
門には門番も門番の詰め所もある。門から建物まで徒歩5分から10分。

「なあ、フィリス、1人で住んでいるって言ってなかったか?お家というのは、1人で切り盛り出来る広さの家を指す言葉だと思っていた。お屋敷とか、邸宅を名乗れる広さだぞ。」
「ボク1人だから、ボクの好きにしたの。」
「1人暮らしと言いながら、紹介するとは、これいかに?」
タマキは、不思議マークを並べながら歩いていく。

フィリスが扉の前に立つタイミングで、扉が開いた。
「おかえりなさいませ。フィリス様。」
制服姿の男達が、ずらりと並んで、頭を下げている。

「お出迎え?人力の自動ドア?」
フィリスは呆然とするタマキの手を引っ張る。

「ただいま。隣にいるのは、ハンティア王国に出現した16歳の異世界人、タマキ。ボクの人的財産として手続き済み。今日からここで暮らすよ。未知数の成長性頼みだから、皆よろしく。優秀な使用人に育て上げてね。優秀になれないと困ったことになっちゃう。」

タマキも挨拶をした。
「タマキです。こっちに来るまで、異世界の日本という国で男子高校生やっていました。
働いた経験がないし、常識もないので、一から教えてください。要領もわからないので、何度も確認しますが、よろしくお願いします。」
最後に頭を下げる。

「タマキ、挨拶が上手に出来たね。偉い。」
フィリスはニコニコと頭を撫でてくる。
「読み書きも覚えるように。」
下げていた頭を戻す。
「分かった。」
「この家は、ボクのものだから、ボクとボクの使用人が住んでいて、時々、ボクのお客様がくる。ボクは職業柄、王城の1角に住んでいて、月に2日くらい、ここへ帰る。」
「月2日のためにお屋敷維持しているのか?金持ち、凄い。」
「ボク、お仕事しているからね。」
「15から働いていて、偉いわ、ホント。」
「ここの使用人は全員、ボクが主だから。」
「どういうこと?」

「ご家族のどなたがご命令されようと、高貴な方がささやかれようと、フィリス様のご命令がなければ我々は従いません。我々の忠誠を誓う相手は、フィリス様お一人。」
使用人の1人が説明するのをタマキは大人しく聞いていた。
「フィリスを裏切らない人間が揃っているのか。」
「さようです。」
「今のが、ハルロット。タマキにとっては、1番上の上司になるから。」
「分かった。」
「ボクは、ガラン邸に寄った後、近衛棟と外交部のハーマルお兄様のところに行くから、今日はタマキを置いたら、出るね。」
「いってらっしゃいませ。お帰りをおまちしております。」
ハルロット以下、全員が頭を下げた。
タマキがそれをぽけっと見ていると、フィリスは、タマキ、わからないことは、周りに聞きにいくんだよ、優秀な使用人になるんだよ、と言いおいて、去っていく。

「いきなり、置いてけぼり?」
タマキがボヤくのをハルロットは見ていた。
「これは鍛えないと。フィリス様の使用人に相応しくするには、全員、全力で取り組む必要がありますね。」

その日、ハルロット以下、フィリスの使用人による、フィリス様にご満足いただける優秀な使用人養成コースがタマキのために開講した。
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